二人はようやく運命の
―――ありがとね、ルカ。今のキミを見てるとまるであの日のボクの様だ……
心底魂を救われて、こんな風にどうしても恩返ししたいって……
でも胸が苦しいよ。だって、あの人にはさせて貰えなかった。
むしろあの人はあの世界に生まれた意味をボクに見出して、それも『ルナが教えてくれた』とまで言って。
……確かに生きて、戦い抜いてくれた。ボクの為に。
やっとこの前の少年パーティのお陰でそこまでは解った。でもボクは何も返せずいつも貰ってばかりだった。なのに……
一体お兄ちゃんはボクから何を受け取っていたんだろ……
遠い目のルナへ不意に目下の相談を始めたルカ。
召喚されて探す迄も無く何故かすぐに会えてしまい、即つけ回したせいで何も知らず、住み処や食事さえもどうしようかと思ってたという。
「うん。それなら先ずはボクの生活範囲を紹介するよ。 ボクは転生時すぐに運良く活躍出来て、村から厚待遇でこの住み処を提供されたんだ。部屋も余ってるから大丈夫だよ」
「え……一緒に暮らせるの?」
まあね……と肩をすくめつつ
「私、泣きそうだよ……異世界サイコ――――ッ!」
* * *
そして翌日。
ルナの案内で再認識したのは、一部で前世より科学文明が遅れてる所や人を拐ってゆく地下の勢力。
その浸食で魔に取り込まれる人々と蔓延する瘴気。そして最近の被害急増。
「あ、さん付けしなくていいよ。ルナで」
「うん。じゃそうするね」
早速ルカは考えていた。これから動き出せば自ずと分かってくるであろう異世界のこの未知の力―――これで今何が自分達にできるか……それだけでももっと知っておきたいとルナヘ訴える。
……そう言えば物理力は色々試したけど魔法もそれなりに使えるってレイメイさんから聞いた。まだあまり試してないけど……
「ならそれも兼ねて乱取りでもしてみよっか!」
「えっ! ルナと久々のバトル、超楽しそう! 私はサイ、ルナは
「お互い大きな異能をいきなり使えば一瞬で殺しかねない。だから一倍のフィジカルだけで乱取しながらサイや魔法を少しずつ混ぜて、出来る事や備えるべき事を確かめよう!」
異世界の特殊能力の完全習得と備え。正に自分達が武道で培った時の様にトライ・アンド・エラーで使いこなせるように―――最高のライバルと一からの鍛え直しに胸が高鳴り始め瞳がギラギラして来る二人。
「いいね! じゃ、良さそうな技に名前付けたりなんかして……」
「フフッ。そうだね。修行って私、いつも嫌々遣らされてたけど初めて自分から、しかもワクワクしてる!
こんな気持ち、きっとルナとだからだよ。早速やってみよっ!」
こうして二人の凄絶な修行が始まる。
* * *
激闘に次ぐ激闘。――― 修行&修行
例によって夢中に向き合うと瞬く間に時が過ぎる。
その数日だけで質の高い実戦を無数にこなしたのと同等の戦力アップを果たした二人。
「これでボクは万倍の
「私は千倍の
「お互い凄い進歩だ、異能の技も色々覚えたしね! これから大進撃だ! にしてもルカがいればいつでも鍛練できて、これって最高の環境! 」
やはり武道が根っからのアイデンティティ。二人は充実した訓練が出来て上機嫌だ。
「だけどホント修行キライだったの? 最低限の寝食以外ずっとニコニコしてやってる!」
「そう言うルナだってニヤニヤしてメチャ楽しそう。もしかして私とだから?」
何かを誤魔化すように目線を外し、まあねと言って調子を合わせるルナ。
「ん何? 今デレを隠した? じゃ、このあと二人でシャワー浴びて……」
「ルカッ! そうじゃなくて! 同レベルの武道家と殺気とか感じながらヒリヒリした鬩ぎ合い出来るなんて、やっぱスパーリングパートナーって必要だよね! って事」
「チェッ……な~んだ……修行ばっかり。なら帰ってから寝技も試してみよっか」
「ダ~メ。ルカのエッチ! もう……。 ところで
で、今の所は超常能力は魔法はボク、サイは圧倒的にルカだね。
考えは見抜かれるわ、念力で石弾丸を凄い数を飛ばして来るわ、骨折りや内臓潰しとかの直接攻撃はエグ過ぎ!」
「でも
「やっぱ万倍速には私の千倍じゃ無理。サイの読心と予知を併用しないと攻撃もバリアも間に合わない」
「ゴメンね。イキナリの念力内臓潰しに『殺される』って思っちゃってつい力が……サイのゼロ距離の攻撃ってどの位の強さで来るか分からないから……今度サイを教えて!」
「うん」