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第12話 1万倍のチカラ   






「次にソナタは自分の命を賭して三人も人命を救ったが故、『最大級の治癒魔法』と先程とは別の『報奨の倍率』も付与される。


 これは救助した人数分、つまり3つの指定した能力に対して10倍に出来る。ソナタなら三大ステータスそれぞれを10倍すると良い」


「ん~でもボク超能力とか要らない。 だって魔法があるんでしょ! その分を物理フィジカルに廻せない? サイの分も物理フィジカルに割り当てて、10×10で百倍に~、なんちゃって!」


「普通そこは魔法につぎ込みたがるのじゃが、本当にいいのか? 皆、憧れるのじゃぞ?」



「ボクは物理フィジカルがいい」



「ではその報奨倍率を基礎に掛けて魔力10、超能力5、物理は千じゃ。

 で、更にこれらが徳倍率で百倍となる故、総合ステータスは順に『千、五百、十万』じゃ。にしても物理に偏重し過ぎよの。まあそれも一興」


「だって悪者ブッ飛ばすにはそれが一番! ……でもそれってスゴいの?」


「まあな。ソナタの基礎力10の才能の物理フィジカルを1万倍まで任意の倍率でコントロール出来ると言うこと。 速さも、そしてパワーも」


「それはスゴい!」


「じゃが所詮は能力値。持ち腐れも多い。結局活かせるかは心掛け次第なのじゃ」


「確かに武道でもパワーが有る人が必ずしも強いとは限らなかった。適切に活かす……か」


「そう言う事。では次の選択……」





 : + ゜゜ +: 。 .。: + ゜ ゜゜ +:。. 。.





――― 回想から戻るルナ。


 ……うん、約束通りだ! パワー、スピードだけじゃなく体の耐性や速度感もちゃんとアップしてる!


 だから10倍速からの急停止でも足がきしまない、痛くない!


 報奨と徳の倍率・百×百=物理力フィジカル1万倍にした時、体がもたないんじゃ話しにならないからね……


 徐々に感覚を掴んで行くルナ。


「それじゃ、そろそろギアを上げてくよっ!」


 突如加速するルナ。


「なっ! 動きが速い! 転生者だ! 魔法撹乱阻止ジャミングしてランチャーで一気に叩け!」


「ふーん、聴覚までアップ! なら『1000倍』で防衛だ! え、何この砲弾の歩くような遅さ! 」


 素手で受け流して軌道を変え、相手に返して5人に着弾。一度にフッ飛んだ。


「砲弾を素手で返しただとォ? この辺じゃ珍しいアレか?! おい、警戒班、サイの上級者なら逃げられる様に超能力サイキックカウンターをモニターしとけって言ったろ!」


「してますっ! 超能力者サイキッカーじゃありません!」


「なら魔法だろ、絶対に使わせるな! 対魔法用撹乱ジャミングしてなかったのか?! しっかりしろ!」


 ジャミング装置から妙な電磁波を照射し魔力を阻止、更に機関銃で乱射してくる。



 ダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダ……



「視覚も速度感まで千倍。弾がよく見えるぅ~。高速避けも掴むのもOK。余裕過ぎ!」


 軽い反復横跳びで避けたり、ピピピと摘まんで落としたり。まるで遊んでいる様だ。



「何ぃ!! ジャミングが効かねえ?! 転生者でも5倍速がせいぜいだろ、魔法瞬間移動阻止でこの速さ有り得ねえ。しかもサイでもなく素手で弾を?! やべえ、ボスに伝えねえと!」


 即攻振り向き先行するボスへ向かおうとした時『妙な破裂音』 と共に眼前にルナ出現。


「うわっ何で前に!」 と狼狽する敵に、『だって千倍だし!』 とドヤ顔のルナ。


『バァ―ン』


 というその破裂音は音速越えで生じるソニックブームと呼ばれる衝撃波音だ。そして殺さぬよう軽く手刃で気絶させる。


 時を同じくして敵の中核組6人が子供達の隠れるエリア最奥に到達、逃げ遅れた少年と少女に銃を向ける。


 非道なるボス、その人である。



 その子に手を出すな、と血相を変え立ちはだかる父親。怯えるまだ10才にも満たない位の兄妹。


 ニヤリ、と無情に引かれるトリガー。


『ダンッ!』


 父が腹を撃ち抜かれ倒れる。と、兄が妹を抱えて庇うも幼い兄の背にも凶弾が放たれ、服が瞬時に赤く血で染まる。絶叫する妹。


「イヤ―――――ッ」


 その声にカッ飛んで来たルナは、妹を庇う兄の血まみれの光景に一瞬放心、そして敵と目が合い激昂。


 刹那、精悍さを増して心身が『男のジェンダーにチェンジ』 するや否やパワ―のギアを跳ね上げ、


「うおおおおおお―――――――っっ!!」


 『万倍速』で跳び上がって突っ込み、フルパワーの平手打ちを脳天から浴びせると、そのあり得ぬ程の衝撃波で男が瞬間蒸発。


 直後、先程とは比較にならない後追いの大衝撃波で軌道上の敵が全員同時に遥かブっ飛んで昏倒。



 立ち込める爆煙と静まり返るその場の人々。



 はた目からは衝撃波と爆煙から少女が忽然と現れた様に見える。振り下ろされた腕のまま着地。


 途轍もない万倍パワーに自ら驚くも、死の間際の親子を前に血相を変えるルナ。


 たちまち『女のジェンダー』に自動的に戻り、急いで振り返るルナ。


「今治癒してやるっ! (たしか最大級の治癒魔法を授かってるハズッ!)」


 何でもいい、治ってくれ、と被弾した父と兄の創部へと治癒魔法を念じながら二人へ同時に両手をかざして魔威を込めると、掌から莫大な量のまばゆい光芒が


《ブワワァァァァァァァ―――――――ッッッッ》


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