「だからお願い! 私の恋人になってよ……もうこんな出逢いは二度と無い気がするから」
「―――でも今は
やはりこの子……
顔に陰を落とすルナに何と思ったか
だがルナは
「ボク達、体が逆だったらね……でも今のボクはどうしても女の子と……って……」
いや待てよ、ホントそうか? だってこの可愛さ! そして健気で一途で謙虚。 更に深く結ばれる事も可能?!
うああ予定が狂う~、くああ……ボクはどうしたらぁぁ!……
あれっ ?! ……そう言えばこれって付き合ったらカレシになっちゃうんじゃ? そしたらボクは……
『死ぬ……』
死……まさかね。にしても……カレシ?……
答えが出せず両目をぎゅっと
「じゃ……じゃあルナさん……ホントに私じゃダメか、キ、キスして見れば本能が答えを出してくれるかもしれない!」
「!!!……キ……」
その潤んだ瞳でじっと見つめる
「あるいは別の道を行くか、共に歩むか……運命が分かるかも!!」
運命……ちょっ、そんな目で……なんて可愛いの。もう無理~、それ以上ダメ~!
「……一度だけ……たった一度でいい……お、お願いします……」
勝手に顔が吸い寄せられてゆく。そして気持ちの抵抗も虚しく唇を重ねてしまうルナ。
長いキスのあと、陶然と見つめ合ったまま
やっぱりこれは……
「……運……」
『……命……』
そしてその歯車が回った――――
その交差点に突如鳴り響く、その奇声の様な音に切り裂かれる運命。
『キキキキ――――――――ッ!』
強烈なブレーキ音に即座に振り向く二人。
とある車の信号無視。直後、
『ガアァァンッ……』
交差点に響く激突音。弾かれ大スピンする2台。
ルナ達の眼前で信号待ちしていた数人へ猛然と突っ込んで来た。
〈キミはそっち!〉
〈分かった!〉
と目配せだけで全てを読み取る二人。
弟を
一方、
助かった!
と
「んっ!―――」
完全に軌道を避けた筈の
その極めて困難な不測の事態にも
刹那、ルナの脳裏を熾烈に
とある事故で兄の
蘇る地獄の感情と絶叫の記憶。
『何で私なんか……』
《うあああああああああああぁぁぁぁぁぁ……》
どうしてボクの大切なものはいつも……
神は何がしたい ?!
いや、させるもんかっ、絶対に助ける!
例え神を敵に回そうとも……
もう二度とその悔いは受けない!!
『ボクの、初めての、友達なんだ――――っ!! 』
地を
ルナが窮地でのみ使う一撃必殺技『
ダンッ―――
鈍い音が響く日中の目抜き通り。その全てが静まり返る。
『助かってる ?!』
と慌てて周囲を見回す
……ん、
『あの日』こんな事されて……残されて……死ぬ以上に苦しんだ……。
なのにあれ程されたくなかった事を人にはするなんて……
けどこのコだけは絶対助けたかった。
ゴメンね、
にしても、苦しみ抜いた人生の土壇場で、生涯で一度は本気で好かれたボクは……
フッ、これでも幸せな人生だったのかな、結局届かなかったけど。
……ああ、もう意識が……サヨナラ、最後に夢をありがとう……
そしてお兄ちゃん……どれ程この日を待ったか……
ルナは今まで兄を追うため何度も自殺を図るも、命を賭して救ってくれた兄を裏切れず失敗を繰り返していた。しかし今のルナは喜びの心境で意識が遠のく。
最期にハラリと涙が溢れた気がした。
やっと……遂にこれでやっと……あの人の元へ……
―――― 今、逢いに行くよ―――――
『救急車―っ!』
と絶叫する
……初めてありのままを認めてくれた………諦めてた私に希望をくれた……なのに護身のプロの私は何なの……
この子は人助けの約束を身をもって果たしてくれたのに………約束を破ったのは……私の方……
「ルナさんっ! ルナさんっっ! ルナァ――ッ! ……イヤ―――――ッ!」