カ……カワイすぎる……その上ナニこのいい香り……天使?
それにお兄ちゃん以来だ、こんな風に理解してくれたのって。
もしやこの人がボクの求めてた理解者……
……ああ、例えばこんな人と一緒にこのお助け活動とかをやって行けたら、きっと最高なんだろうな。
そして毎日が楽しくて……誘ったら、ダメかな……
ルナの頭を
……だから勇気を出して言ってみよう!
ボクの人生を変えるために……
そう、その一歩が、一言が大事なんだ!
「ねえ、なんかスゴく嬉しい! じゃあボク達、人助け同盟組んで一緒にやって行こうよ!!」
あ、言っちゃった……
え? 顔、近い……
「ハイッ! 絶対、絶対にですっ!
約束ですよ、私が何者でも!
……破ったら許しませんよ!」
「何者?……」
ルナは改めてその赤袴のつま先から頭の先まで舐め回す。特に不審な点はない。
「ってボク、約束を破った事ないし。キミこそ破らないでよ! 絶対やろう!」
激しく同意し互いに両手を取る。だが
「……ルナさん……私が何者か……って言うと、実は―――男の子……なんだ……」
「えええっっ!」
って、性同一性障害ってヤツ? ケド完っ全に女の子化してるし!
「本当は女の子に生まれたかった……気持ち悪いでしょ?……みんなそう言うの……」
―――それは思うより遥かに孤独な、一生理解されないかもしれない恐怖。真の隔絶。
「え?……そんな事ないでしょ?……いや、だってマジ可愛いよ? サイコーじゃん!……それに可愛いって正義でしょ?……絶対基準でしょ?!」
「ホ、ホント? 私もそう思ってこんな風に! じゃあ私、このままでいいの ?!」
深く
「いいに決まってる! それに偉いよ、隠さず貫いてて……全てから逃げてたボクにすればよっぽど勇気ある」
「逃げてた?」
「うん……。でもま、今はボクも『女装男子風の元気女子』を目指してて……未だ上手く出来てないけどね。けどそんなの人それぞれ! キミのだって
だから、今のキミを大切にしてよ……」
唖然とする
そう、トランスジェンダーにとって最も心に来る事、それはありのままを本心から認めてもらえる事。
胸が猛烈に締め付けられる
もう何も見えなくなっていた。
――――ルナ以外のものは。
その流火の
ありったけの真摯な気持ちでそれを伝えた。
「少なくともボクはそれ……好きだよ……」
偽り無きルナの微笑み―――
刹那、雷に撃たれた様な衝撃に一瞬、時が止まる
『ボクはそれ……好きだよ』
『ボクはそれ……好きだよ』
『ボクはそれ……好きだよ』
『ボクはそれ…… 』
それが魂の奥底まで届き、そして深く刻まれた。
「だから約束は守るよ。……それにそんなに可愛いんだからその格好がいい! 明らかにボクが出逢った中でダントツの美少女……風だし! ああ可愛い! 絶対カワイイっ!」
「はぅ……う……ううぅっっく……はぐぅ……」
「ちょっ……な、泣かないでよ」
「だって……バカにもせず……気味悪がったり、卑屈にもならず、むしろ
「ずっと独りだったんだね。今のボクには分かる。でももう違うよ。だからもう孤独にならないで」
「今迄どれだけ……やっぱ急に態度変えたりしないよね ?!」
「大丈夫。そんな風にしないよ。約束したでしょ。ちゃんと守るから。これからは一緒にいるよ。だから顔をあげて」
「ふえぇ……だったら私も命を懸けて約束守ります! けど、本当の私を知って初めて普通に……こんなの奇跡だよ。夢? まさか夢じゃないよね」
「そうだよ。それに……カワイイこそ全て……ボクこそ女のくせに可愛い人しか好きになれなくて」
「そんな人を探してた! ねえ、だったらルナさん! 私と付き合って下さいっ!」
初めて告られた相手がトランスジェンダー。だがちゃんと異性だ。そして見た目は断然好みそのものだから、どうして良いかただ混乱するルナ。 どうにか抵抗してみる。
「え……い、いや、ボ……ボクはカワイイ『女子』が好きなんだ」
「やっぱり。こんなの異常ですよね。
「え、じゃなくて
「だったらそうさせて欲しい!」
「(ちょ、そんな可愛い顔近づけないで!)でも……ボクは可愛い女の子が……」
「どうして?……あなた自身女の子、百合が趣味なの? いや違う! 私とのように深く愛せる方がいいって今言ってた。 自分も相手も可愛くありたいだけ!」
う、図星……でも……うん、確かに……
と自ら逃げ場を断っていた事に気付くルナ。
「だからお願い! 私の恋人になってよ……もうこんな出逢いは二度と無い気がするから」