エピローグ☆旅立ち
ドラゴン狩りの一団がやってきたが、はぐれドラゴン数匹を狩っただけで手持ち無沙汰げにひきあげていった。
「どうしたの?お父さん」
メロディがクラウドに聞いた。
「ドラゴンのいない騎士団は、ただの騎士団なのさ」
しょんぼりとしてクラウドはこたえた。
「もっと冒険ができて、もっとワクワクする生活がしたくはないか?」
見知らぬ初老の男が来て言った。
「お前は誰だ?」
「アレハンドラ」
「えっ」
「そんな生活ができるの?」
「できる。テクサク国から離れてまだ見ぬ世界へ行ってみないか?」
メロディとクラウドは顔を見合わせた。
「そんな夢物語に付き合えるほど、俺ももう若くないな」
「私……は、行ってみたい」
「メロディ」
クラウドは成人前の娘をしげしげと見つめた。
「後悔だけはするなよ」
「後悔なんてしないわ」
「アレハンドラ、頼む。娘を連れていかないでくれ」
「……」
「お父さん、私はドラゴンと共に生きるさだめです。竜姫はドラゴンと共に」
メロディはアレハンドラにキスをした。
ぎゃーす!
ドラゴンの姿のアレハンドラがメロディを背中に乗せて飛びたった。
「メロディー、行くな!」
クラウドが叫んだがあっという間にドラゴンは舞い上がり、姿を消した。
ざあああああ。
黒い影が押し寄せてきて、ものすごい数のドラゴンたちが現れた。
やがて彼らは、地上と空に分かれ、残る者、旅立つ者に分かれた。
はるか彼方の冒険の旅へ竜姫は旅立った。
まだ見ぬ未来に向かってドラゴンたちが飛んでゆく。
「なんてことだ……」
クラウドは嘆き、悲しんだ。
その額には紋章が輝いていたが、やがて時と共に影も形も見えなくなった。アレハンドラの魔力が消えたのだった。