第三部☆竜姫
第六章☆ドラゴンステーキを回避する方法
「遠くの国では、ドラゴンを狩ってステーキにして食べる風習があるらしい」
クラウドが藪から棒にそう言った。
メロディは身震いして、
「お父さん、悪い冗談はよして」
と言った。
「この国の周辺はドラゴンが過密状態だろう?旅人が話して回ってるらしくて、噂じゃ、ドラゴン討伐隊が送り込まれるかもしれない」
ぎゃーす!
アレハンドラが叫んだ。
「お前みたいな立派なドラゴンが真っ先に狙われるぞ」
クラウドが真面目に言った。
ぎゃーす!
アレハンドラは他の仲間たちの方へ飛んで行った。
しばらくアレハンドラは帰って来なかった。心なしか、ドラゴンたちの姿も減ったように見受けられる。
もしかして、もう討伐隊が来ているのでは?
メロディは、はらはらした。
「メロディ」
「えっ?」
見覚えのある少年が立っていた。
「あなた、一度だけじゃ飽き足らず、また人間になったの?」
「そうだよ。父さんがみんなに呼びかけたんだ。言葉を話す練習とか、炎や煙を吐かないとか、いろいろ訓練してるんだ」
サンダーがアレハンドラたちの様子をメロディに伝えた。
「やっぱり、ドラゴンステーキが怖いのね」
「そりゃそうさ。それに人間の姿とドラゴンの姿を使い分けれたら最高だろう?」
「そうね」
メロディはなんだかホッとした。
「西の国の聖なる果実を果実酒にしていつでも飲めるようにするんだ。僕も手伝わなくちゃ。またね、メロディ」
サンダーは2本の足でかけて行った。
「もしかして、みんな人間になっちゃったら、元に戻すのに、みんなにキスしなきゃならないのかしら?」
メロディは大きくため息をついた。