第三部☆竜姫
第四章☆プラチナブロンドの少年
メロディがいつものように湖畔を散歩していると、見知らぬ少年が近づいてきた。
「あなた誰?」
メロディの問いに、何か言おうとするのだが、声がうまく出ないらしく、言葉にならない。
外見はとてもきれいな少年だった。
「リューク!」
ちょうど上空を飛んでいたドラゴンに気づいて、メロディが大声で呼んだ。
リュークはすぐさま降りてきて、メロディに擦り寄った。
メロディはとにかく、ドラゴンから好かれる体質なのだ。
すると、少年はぶるぶると怒りに震え、あり得ないことに口から炎を吐いてリュークに浴びせた。リュークは固いウロコで覆われているので、ちょっと熱いだけだった。
「もしかして、サンダー?」
メロディの問いに、少年はがばっと抱きついてきた。
「ほんとに人間になっちゃったの?!」
なんてことだろう。
メロディは人間の姿のサンダーの手を引いて、クラウドに相談しに行った。
「ロイが西の国の神聖な木の実を食べれば人間になれる、って言ってたのを真に受けてサンダーが人間になっちゃったの」
「ロイはなんでそんなこと知ってたんだ?」
「本で読んだって言ってた」
「じゃあ、解決策もその本に載ってるかもしれない」
「ロイのところに行ってくる!」
サンダーはメロディにしぶしぶついていった。
「やあ、メロディ。そっちは、サンダーだね」
「わかるの?」
「もちろん」
ロイは分厚い古書を持ってきた。
「聖なる乙女の口づけで元に戻るらしい」
「聖なる乙女?」
きょとんとしているメロディに、ロイが「君のことだよ」と言った。
サンダーはさんざん抵抗した。せっかく人間になったのに戻りたくないからだ。
「サンダー」
メロディが両手でサンダーの顔を挟んで持ち、真正面から目を見て言った。
「ドラゴンの時のサンダーの方が私は好きよ」
サンダーは大人しくメロディからキスされた。
ガオー
ドラゴンに戻ったサンダーは拗ねてどこかへ飛んで行った。