目次
ブックマーク
応援する
1
コメント
シェア
通報
第17話

第三部☆竜姫

第四章☆プラチナブロンドの少年



メロディがいつものように湖畔を散歩していると、見知らぬ少年が近づいてきた。

「あなた誰?」

メロディの問いに、何か言おうとするのだが、声がうまく出ないらしく、言葉にならない。

外見はとてもきれいな少年だった。

「リューク!」

ちょうど上空を飛んでいたドラゴンに気づいて、メロディが大声で呼んだ。

リュークはすぐさま降りてきて、メロディに擦り寄った。

メロディはとにかく、ドラゴンから好かれる体質なのだ。

すると、少年はぶるぶると怒りに震え、あり得ないことに口から炎を吐いてリュークに浴びせた。リュークは固いウロコで覆われているので、ちょっと熱いだけだった。

「もしかして、サンダー?」

メロディの問いに、少年はがばっと抱きついてきた。

「ほんとに人間になっちゃったの?!」

なんてことだろう。

メロディは人間の姿のサンダーの手を引いて、クラウドに相談しに行った。

「ロイが西の国の神聖な木の実を食べれば人間になれる、って言ってたのを真に受けてサンダーが人間になっちゃったの」

「ロイはなんでそんなこと知ってたんだ?」

「本で読んだって言ってた」

「じゃあ、解決策もその本に載ってるかもしれない」

「ロイのところに行ってくる!」

サンダーはメロディにしぶしぶついていった。

「やあ、メロディ。そっちは、サンダーだね」

「わかるの?」

「もちろん」

ロイは分厚い古書を持ってきた。

「聖なる乙女の口づけで元に戻るらしい」

「聖なる乙女?」

きょとんとしているメロディに、ロイが「君のことだよ」と言った。

サンダーはさんざん抵抗した。せっかく人間になったのに戻りたくないからだ。

「サンダー」

メロディが両手でサンダーの顔を挟んで持ち、真正面から目を見て言った。

「ドラゴンの時のサンダーの方が私は好きよ」

サンダーは大人しくメロディからキスされた。

ガオー

ドラゴンに戻ったサンダーは拗ねてどこかへ飛んで行った。

この作品に、最初のコメントを書いてみませんか?