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第9話

第二部☆クラウド

第一章☆混乱・混戦



「独自任務中の第七騎士団から伝令が参りました!」

テクサク国は騒然となった。

「戦争になるの?」

国民が震え声で呟いた。

「おそらく、ドラゴンの一団の後から地上を兵士と民間人の群れが進んでくるだろう」

年老いた王は、まだ幼い王子の目線に腰をかがめ、

「どうしたらいいか?」

と問うた。

「ケンカはダメだよ。たくさん持っているならわけてあげればいい」

「そうか」

王は王子の頭をなぜた。

「交渉の場を持とう」

伝令のクラウドは、侵攻してくる一団の尖兵に王の意志を伝えた。

「甘いことを言っている。おまえの国の王は腑抜けか?」

「なんだと!」

クラウドは怒った。

「伝令風情が何をできる。それよりも、おまえの上司の遺体を捜して弔ったらどうだ」

「なんだって?」

クラウドは血の気がひくのを感じた。

第七騎士団の仲間たちを捜して、アレク団長の遺体を見つけた。

「あいつら、ただじゃ許せない」

「だが、我々で敵う相手じゃない」

テクサク国は多勢に無勢で蹂躙された。ドラゴン騎士団も散り散りになり、はぐれた騎士とドラゴンが第七騎士団に合流した。

「アリス王女様。こちらにおいででしたか。無事でなによりです」

老騎士が涙ながらにアリスの手をとった。

「女性がこのような苦労をされて彷徨っておられるとは!」

クラウドと同じ日に騎士団に入ったジルベールという若い騎士がアリスに跪き、手の甲に接吻した。

彼らはアレクの遺体を手厚く葬って、花を手向けた。

アレハンドラはずっと上空を旋回していた。

「アレク団長は、アレハンドラはやらんぞ、って言っていたなぁ」

クラウドは涙を拭った。

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