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第6話

第一部☆アレク

第5章☆アリス王女



「ここはいったいどこ?城はどっち?」

はあはあ、あえぎながらアリスは森の中をさまよっていた。

気がついたらドラゴンの背で横たわっていた。

騎士がいたが、その目を盗んで逃げ出した。

「なぜ?私がこんな目に遭わなくてはならないの?」

どう考えても彼女には理由がわからなかった。

「きゃあ」

木の根につまづいて転ぶ。

ひざを擦りむいて、血が滲んだ。

ぎゃーす!

大きなかげが舞い降りてくる。

アリスは恐怖で立ち上がり、逃げ惑った。

「姫さん!落ち着いてください」

「お前は誰?」

「第七ドラゴン騎士団団長アレク」

「お前は私をどうするつもりなの!」

「どうもしやしません。食事と休憩がとれる場所へ行きましょう」

アリスは逃げるのをやめた。ひざがズキズキ痛む。泣きたいのを我慢して、降りてきたドラゴンの背中に騎士からひきあげてもらった。

くらくらするほど高い空中を飛んでゆく。

「団長ー!」

他のドラゴンたちと騎士たちが小川のそばにテントを張って、火をおこして大鍋でなにか料理を作っていた。

「はい、どうぞ」

木の器に温かいスープ。

「このような得体のしれないもの、食べれない!」

アリスは器をひっくり返した。

「食べ物を粗末にするな!」

アリスと年の頃がそう変わらない少年が怒って怒鳴った。

「クラウド、まあ、そう怒らんでやってくれ」

アレクが大剣を傍らに置いて座りながら言った。

「姫さん。これから先、ずっとこんなだ」

「なんですって!」

「ドラゴンの心眼で姫さんが王家を継ぐのは駄目だと出たんだ」

「ドラゴンの心眼?」

「国を治めるのに、弟を殺したいくらい邪魔だと思っていただろう?よく考えてみるといい。あなたが治めたら国が滅ぶ」

「随分な言い様ね!」

「事実だ」

アレクの言葉にアリスはぐうの音も出なかった。

「どこか怪我をしているのか?」

なんでもお見通しのようだ。

アリスは擦りむいたひざを手当てしてもらった。

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