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第2話

第一部☆アレク

第一章☆アレハンドラの鱗



テクサク国は、近隣諸国の中でも兵力にドラゴン騎士団を持つため、異彩を放っていた。

第11ドラゴン騎士団まで揃い踏み、圧倒的な力を誇った。

王家は騎士たちの忠誠を得るため、民を大切に扱い、穏やかな政治を行い、平和な日々が過ぎて行った。


「アレハンドラー!」

ぴゅーい!

口笛で呼ぶと、立派なオスの青竜が舞い降りてくる。

アレクは満足げにアレハンドラの背中にまたがると、大空高く舞い上がった。

「団長ー!どちらへ行かれるんで?」

「偵察だ」

「お供しましょうか?」

「いや、アレハンドラの運動を兼ねているだけだからいい」

「さいですか」

部下たちがそれぞれのドラゴンにまたがって飛んできたが、それほどたいしたこともなさそうだと、戻って行った。

「アレハンドラ!森へ向かおう」

ぎゃーす。

人と過ごすドラゴンは、人語を解す。アレハンドラは森林地帯へ向かった。

ばさばさばさ。

鳥たちがいっせいに飛び立ってゆく。

キン!

アレクは金属音を耳にした。

キンキン、カン!

地上から弓矢で射られているらしい。

「誰だ、命知らずは?」

怒りと共にアレクは腰の剣を抜いて、飛び降りた。

「あわわわ、騎士様、これはとんだご無礼を!」

冒険者の一団だった。

「統制のとれていないはぐれドラゴンかと思ったんですよ!」

「心外な!おい、弓矢を射った数だけ俺と手合わせしろ」

「とんでもない!第七ドラゴン騎士団の団長アレクといえば最強と呼ばれる方じゃないですか」

冒険者たちは尻込みした。

アレハンドラが、アレクのそばに降りてくる。

風圧でみんな飛ばされそうになるが、アレクは平然とたたずんでいる。

「アレハンドラ?どこか怪我をしなかったか?」

それは愚問だった。どんな硬い武器も通さないドラゴンの鱗。引っ掻き傷さえ見当たらない。

「お前は本当に頑丈だな」

はっはっは!

アレクは豪快に笑った。

ぎゃーす!

森中を震撼させる声が響いた。


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