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 人間の総人口が四億人に減退したのは一五〇年前から続く各地の組織的抵抗によるものだ。

 人類はいまだ「機械」からの一方的な殺戮に抗い続けている。

 機械。それはかつて希望の象徴と謳われていた。

 はじめ、彼らは人類が誇る英知の結晶〈|代替する労働力《リミタティング・レプリカント》〉と呼ばれ、人々と共に歴史を拓く片翼的な存在であった。

 だが文明の発展には暗い影が付きまとうもの。

 時代はうつろい、機械は戦う兵器として役割を帯びていく。人と人の争いはいつしか機械同士でおこなう代理戦争が主な争乱になっていた。

 戦争は文明を発達させる。

 そして人類が最後に創り出したもの。

 ≪高度知的無機生命体・機械兵アトルギア≫

 彼らは経験から学び、更なる強さを自分たちで求めることができた。

 後にも先にも人の手で実現しうる創作物としてこれ以上の科学は不可能だと、当時は声高に謳うたわれた。高い知能を持ち独自の思考を可能とする彼らは瞬く間に戦場の主役となり、最強の機械の座をほしいままにする。

 そしてある日人類は気づくのだった。

 もはや機械を止められるものはいない、と。

 まもなくして彼らは世界を侵し始めた。

 人類を廃し、完全な世界を創り出すという独自の思想を彼らは生み出した。抗う術はない。地上の人間は脆く崩れるように屠られていくばかりであった。

 機械の動いた経過こそ、人類が喫した敗北の歴史である。

 それから一五〇年が経った。

 世界から人口の九五%が失われた現在、人類文明は衰退した。生き残った人々は日々、機械の恐怖におびえながら、しかし……それぞれの平穏を望みながら暮らしていた。



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