宮本の手に、紫電を帯びた巨大なハンマーが現れた。
そのハンマーを形成するために、宮本は体内の雷霆の力の半分を消費し、ほんの少しだが、初めて体力が消耗することを感じた。
だとしたら非常に恐ろしい消費量だ。というのも、宮本はバルトと融合してから一度も疲れたことがなかったからだ。
聖ゴリル山で数多くのモンスターと戦い続けても、全く疲れを感じることはなかった。
その巨大ハンマーは、紫色の稲妻をまとい、頭部には数百もの異様なルーン文字が刻まれていた。それぞれが異なり、独特のデザインが施されている。
これらのルーン文字は、この雷霆の力を具象化した恐ろしい武器を安定させ、崩壊しないように封印のような役割を果たしている。
実は、宮本も知らなかったことだが、彼が嵐の雷竜の巣で吸収した雷霆秘宝は、単に雷霆の力を与えるだけでなく、その最も強力な部分がこの「
雷竜はこの雷霆秘宝によって伝説級のモンスターとなったが、この武器を手に入れることはなかった。しかし、宮本はバルトとの融合によって完璧な遺伝子を手に入れ、雷霆秘宝から深く認められ、この雷霆の力と遺伝子が完全に融合した結果、今、「天雷幻槌」が具現化された。
上半身が裸で筋肉を誇示する大柄な男が、両手で巨大なハンマーを構え、その圧倒的な気配は周囲のモンスターたちに本能的な恐怖を与え、前進を躊躇わせていた。
その光景は、ちょうどドローンで完全に記録されていた。
専用の宮本視点の配信枠は、彼自身のY社アカウントにリンクされていた。
:なにあのデカいの!? 武器?
:(2000円投げ銭)ムキムキおじさんに雷のハンマー、なんか映画みたい!
:すごそうな武器だけど、威力はどうなんだろう
:なんか、ハンマーと雷属性がめちゃくちゃ合ってるね
:モンスターたち、もはや近づいてこなくなってない!?
:この人、実力どんだけあんねん…
:(30000円投げ銭)キャ───(*ノдノ)───ァかっこよすぎ!画面越しで応援してる!頑張ってね!
宮本は周囲のモンスターたちを軽く一瞥し、ニヤリと笑った。
「天雷幻槌か…ハハ、いい感じだな!燃えてきたぜ!それじゃあ…よっこらっしょっと」
「地割れ!」
一撃で、鋼のように硬い氷河の地面が、まるで紙のように引き裂かれ、5メートルの幅を持つ巨大な亀裂がものすごいスピードで前方に広がっていった。
その裂け目から、紫色の稲妻が噴き出し、逆さまの滝のように猛烈に溢れ、触れるものすべてを焦がしていった。
興奮した宮本は、左右と前後の4方向に一撃ずつ叩き込んだ。
恐ろしい雷霆がすべてを掃討する。
遠くから見ると、宮本を中心に大地に巨大な十字形の裂け目が現れ、その長さは150メートルに達し、その範囲内にはもう何も生き物がいなかった。
モンスターたちの焦げた遺体が散らばっており、風が吹くたびにそれらは乾燥し、灰となって煙のように消えていった。
まさに「灰燼に帰す」という言葉そのものだった。
その瞬間、宮本にはどこかで見覚えのある感覚が湧いてきた。
そうだ、あの時、伝説のモンスター「嵐の雷竜」が空に向けて放った技だ。
(そっか伝説モンスターの力か…まさかこんな形で「天雷幻槌」として具現化するとは!)
(雷霆の力の消耗が思ったより早いけど、それでもこの威力…すげぇ! これが人間の力だとは、信じられないよな)
(でも、この力、きっと面倒なことを引き起こすに違いないな。嫉妬とか、厄介ごととか…うーんまあ、幸いにもこれを見てるのは配信画面だけだから、直接見られてるわけじゃないし、後でなんとか誤魔化せるだろう)
(残り少ない人生で、面倒事に時間を割いてる暇なんてないよな)
その時、宮本次郎の名前が、貢献ランキングの5位に入り、その貢献値はすでに162,000に達していた。