目次
ブックマーク
応援する
1
コメント
シェア
通報
第39話 天雷幻槌


宮本の手に、紫電を帯びた巨大なハンマーが現れた。


そのハンマーを形成するために、宮本は体内の雷霆の力の半分を消費し、ほんの少しだが、初めて体力が消耗することを感じた。

だとしたら非常に恐ろしい消費量だ。というのも、宮本はバルトと融合してから一度も疲れたことがなかったからだ。

聖ゴリル山で数多くのモンスターと戦い続けても、全く疲れを感じることはなかった。


その巨大ハンマーは、紫色の稲妻をまとい、頭部には数百もの異様なルーン文字が刻まれていた。それぞれが異なり、独特のデザインが施されている。

これらのルーン文字は、この雷霆の力を具象化した恐ろしい武器を安定させ、崩壊しないように封印のような役割を果たしている。


実は、宮本も知らなかったことだが、彼が嵐の雷竜の巣で吸収した雷霆秘宝は、単に雷霆の力を与えるだけでなく、その最も強力な部分がこの「天雷幻槌てんらいげんつい」と呼ばれる武器だということだった。

雷竜はこの雷霆秘宝によって伝説級のモンスターとなったが、この武器を手に入れることはなかった。しかし、宮本はバルトとの融合によって完璧な遺伝子を手に入れ、雷霆秘宝から深く認められ、この雷霆の力と遺伝子が完全に融合した結果、今、「天雷幻槌」が具現化された。


上半身が裸で筋肉を誇示する大柄な男が、両手で巨大なハンマーを構え、その圧倒的な気配は周囲のモンスターたちに本能的な恐怖を与え、前進を躊躇わせていた。


その光景は、ちょうどドローンで完全に記録されていた。

専用の宮本視点の配信枠は、彼自身のY社アカウントにリンクされていた。

:なにあのデカいの!? 武器?

:(2000円投げ銭)ムキムキおじさんに雷のハンマー、なんか映画みたい!

:すごそうな武器だけど、威力はどうなんだろう

:なんか、ハンマーと雷属性がめちゃくちゃ合ってるね

:モンスターたち、もはや近づいてこなくなってない!?

:この人、実力どんだけあんねん…

:(30000円投げ銭)キャ───(*ノдノ)───ァかっこよすぎ!画面越しで応援してる!頑張ってね!


宮本は周囲のモンスターたちを軽く一瞥し、ニヤリと笑った。

「天雷幻槌か…ハハ、いい感じだな!燃えてきたぜ!それじゃあ…よっこらっしょっと」

「地割れ!」


一撃で、鋼のように硬い氷河の地面が、まるで紙のように引き裂かれ、5メートルの幅を持つ巨大な亀裂がものすごいスピードで前方に広がっていった。

その裂け目から、紫色の稲妻が噴き出し、逆さまの滝のように猛烈に溢れ、触れるものすべてを焦がしていった。


興奮した宮本は、左右と前後の4方向に一撃ずつ叩き込んだ。

恐ろしい雷霆がすべてを掃討する。

遠くから見ると、宮本を中心に大地に巨大な十字形の裂け目が現れ、その長さは150メートルに達し、その範囲内にはもう何も生き物がいなかった。


モンスターたちの焦げた遺体が散らばっており、風が吹くたびにそれらは乾燥し、灰となって煙のように消えていった。

まさに「灰燼に帰す」という言葉そのものだった。


その瞬間、宮本にはどこかで見覚えのある感覚が湧いてきた。

そうだ、あの時、伝説のモンスター「嵐の雷竜」が空に向けて放った技だ。


(そっか伝説モンスターの力か…まさかこんな形で「天雷幻槌」として具現化するとは!)

(雷霆の力の消耗が思ったより早いけど、それでもこの威力…すげぇ! これが人間の力だとは、信じられないよな)

(でも、この力、きっと面倒なことを引き起こすに違いないな。嫉妬とか、厄介ごととか…うーんまあ、幸いにもこれを見てるのは配信画面だけだから、直接見られてるわけじゃないし、後でなんとか誤魔化せるだろう)

(残り少ない人生で、面倒事に時間を割いてる暇なんてないよな)


その時、宮本次郎の名前が、貢献ランキングの5位に入り、その貢献値はすでに162,000に達していた。

この作品に、最初のコメントを書いてみませんか?