E36チームの防御区域は魔法陣の北側にあり、Delta3級の強者イリスが指揮を執って、聖ゴリル山に直面している。
現在、ジェイソンは狂気じみた笑みを浮かべながら、宮本たちに言った。
「皆さん、E36の任務はシンプルです。この百メートルの北峰の狭間を守り、どんなモンスターも通さないことが目的です」
北の防線は聖ゴリル山に向かっているため、平原とは違い、完全に直線的な封鎖はあまり効果がない。イリスの指示で、彼女が指揮する40以上のチームのうち、半数は山の麓の狭間を封鎖するために振り分けられた。
「私たちは臨時に組織されたチームで、連携を取る必要はありません。戦闘前に簡単な指示を伝えるので、それを理解しておいてください。
戦闘が始まったら、私はできる限りVI級以上のモンスターを引きつけます。もし、対処できないモンスターに遭遇した場合、私の位置に近づいてくれば、もしかしたら命を救えるかもしれません。
もちろん、自信があるなら仲間を助けるのも構いません。E36の犠牲者を減らすためには、協力が重要です。
それでは、質問があれば、モンスターの大群が来る前にどうぞ」
血族の痩せた男性が陰鬱な表情で言った。「空中から攻撃してもいいんですか?」
「もしVII級のグリフィンの襲撃に耐えられると思うなら、試してみればいい。」
ジェイソンは後方で魔法陣のバリアをひたすら攻撃している数十匹のグリフィンを指さしながら答えた。
それらのVII級のグリフィンは、ダンジョンから召喚された際に完全に狂乱しており、優先的に地面の人間ではなく、魔法陣のバリアを攻撃していた。
しかし、空中の脅威を無視することはできず、先ほども二機のドローンが少し近づいただけで、グリフィンたちに氷と火を同時に撃たれ、破壊されていた。
血族の男は沈黙した。実力はあるものの、VII級の素早く動き回るグリフィンに狙われたら、生き残る確率はほぼないと理解していた。
質問がないことを確認したジェイソンは、体を動かしながら狂気じみた笑みを浮かべて言った。
「ここまで来たら、逃げる場所なんてない。みんな、本気で戦おう」
その時、宮本が真剣な表情で質問を投げかけた。
「もし、ここらのモンスターを全部倒した場合、他のチームを手伝いに行けるか?」
宮本の言葉が出ると、食屍鬼王を一撃で討った場面を見た山崎や、ずっと宮本を「頼れる存在」として見ていた川谷を除き、他の者たちは驚きの表情を浮かべた。
神楽零という恩返しを誓った少女ですら心配そうに宮本を見ていた。
(宮本さま、どうしたんだろう? まさか、砂漠の戦いで頭を傷つけたのか? 私が気づかなかったのかな…)
ジェイソンは宮本の言葉に驚き、しばらく黙っていた後、突然、制御を失ったように狂ったように笑い出した。
「ハハハハハハ!宮本次郎、覚えているぞ。いい志気の質問だ。
でも、これは持久戦だ。モンスターの群れが次々と襲ってくる。こんな状況で『全部倒す』なんて、可能だと思うか?」
宮本は静かに微笑んで淡々と言った。「万が一、それが起きたら?」
数日前、ウェイスグロで頂点を極め、伝説のモンスターの巣穴に挑んだ無敵の強者として、宮本は今、あまり多くを説明する気はなかった。
自分は元々平凡な人間で、地味に過ごしてきたため、目立たないことには慣れている。そして、宮本は自分が三ヶ月も生きられないだろうと考えており、残された時間を他人に認められるために使いたくなかった。
ジェイソンは宮本がまだ質問を続けるとは思っていなかった。しばらく沈黙した後、冷たく鼻で笑った。
「もし本当にそのような状況が起きたら、ウェイスグロのどこにでも行っていいさ」
宮本はまさにこの答えを待っていた。今、名目上ジェイソンは彼の隊長だが、宮本はこの戦闘機会をこの地域だけで過ごすわけにはいかなかった。
こうして、後で何か尋ねられた時に、臨時隊長のジェイソンの承認を得ていたと言える。
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毎日数億のアクセスを誇るY社サイト。
そのトップページが、今まさにサイトを訪れた多くのユーザーを驚かせていた。
「突然、トップページが変わった?」
「なんだこの巨大な配信画面?」
さらにページの下には、見たこともない「貢献値ランキング」が表示されていた。
目を引く大きな見出し──「ウェイスグロ決戦、4000人の探索者による大阪防衛戦!」
一部のユーザーは、自分が普段応援しているダンジョン配信者のアイコンをクリックすると、なんとトップページと同じ画面が表示されていることに気づく。
これほどまでに壮大な配信は前例がなかった。
Y社の運営部では、社長自らが監視台に座り、状況を見守っていた。
「貢献値ランキングが動き始めたら、トップ10の探索者の戦闘画面を個別に表示して、公式サイトのホームページにアップできるか?」
運営部長はうなずき、確信を持って答えた。「問題ありません。」
「このウェスグロの配信は、私たちにとって大きな話題を集めるチャンスだ。君たち運営部が重要な役割を担う。配信中、Y社のすべての部門が君たちの指示に従って支援する」
運営部長は顔を赤らめ、興奮しながら約束した。「承知しました!ご安心ください、社長!」
同じ状況がT社サイトでも起こっていた。