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仲間に裏切られたハズレ職『サモナー』の僕は、死んだあと魔王に召喚され指揮官として新たな道を歩む
仲間に裏切られたハズレ職『サモナー』の僕は、死んだあと魔王に召喚され指揮官として新たな道を歩む
九傷
異世界ファンタジー冒険・バトル
2025年01月03日
公開日
7.1万字
連載中
【『マンガBANG×エイベックス・ピクチャーズ 第一回WEB小説大賞』一次選考通過作品】
【第4回HJ小説大賞後期 一次選考通過作品】

中学生の少年、野々村 士道は、修学旅行中の事故で死亡してしまう。
しかし、彼は運良く? 神のような存在に拾われ、めでたく異世界で転生することになる。
特典として一つ、特化した才能を貰った士道は、異世界にてバラ色の人生を歩む……ハズだった。

残念ながら、現実はそう上手くいかなかったのである。
貰い受けた才能は『サモナー』の才能だったのだが、異世界において『サモナー』はいわゆるハズレ職だったのだ。
そのせいもあって、人生はバラ色どころか泥まみれの人生となってしまい、日々辛い生活を強いられることになる。
パーティを組めないのはもちろんのこと、ソロ活動をしてても邪魔者扱いされ、悪いときは召喚したモンスターごと斬り殺されそうになることも……

そんな日々を過ごしているの中、士道にとっては本当に久しぶりのパーティへの誘いがあった。
士道は警戒しつつも、その魅力には逆らえず誘いに乗ってしまう。

そして案の定、士道は仲間に裏切られることになるのだが……


この物語は、仲間に裏切られて死んでしまった主人公が、魔族に再転生して人類と戦うお話です。
主人公は、前々世で得意としていたタワーディフェンスゲームのノウハウを活かし、今世では魔王軍の領域に侵攻してくる冒険者達と敵対します。

――そして、人類の敵となった士道はいつしか人々から〇〇と呼ばれ恐れられることに……

第1話 裏切り



 異世界転生……、それは思春期男子にとって誰もが憧れる夢の一つであり、最高の妄想だ。

 その妄想が、もし現実となったら?

 そんなの、最高に決まっているじゃないか!!!



 ……そう思っていた時期が僕にもありました。









「おい! まだなのか!」


「すいません! あと10秒ほど待ってください!」


「ちぃっ! 本当に使えねぇなぁ! 『サモナー』ってヤツは!」


「連れてきたのはダンテでしょ!? 責任取ってアンタがちゃんと負担しなさいよ!?」


「くそっ!」



 自分のことで険悪になるパーティメンバーをしり目に、僕はなんとか術式を完成させる。



「行けます! スケルトン召喚!」



 僕がそう宣言すると、地面に魔法陣が発生し、そこから5体のスケルトンが召喚される。

 召喚されたスケルトンは僕の指示に従い、ダンテが交戦中のオークに襲い掛かる。

 しかし――



「だぁ! 邪魔くせぇ!」



 その内の2体が、ダンテの振り回す大剣に巻き込まれ粉々に吹き飛ぶ。

 3体はなんとか難を逃れたが、オークに返り討ちにあい1体が粉砕されてしまった。

 ダンテへの手数は一瞬減らすことができたものの、あの有様では残る2体も時間の問題だろう。



「おい! もっと使えるモンスターは呼べねぇのか!?」


「あ、あと20秒ほどお待ち頂ければ……」


「20!? 待てるか!」



 ごもっともである。

 戦闘における20秒がどれだけ長いか、僕にだって理解できている。

 さっきの10秒だって、決して短い時間ではない。

 ……そんな時間をかけて、5秒も時間を稼げなかったのである。

 僕自身、歯がゆくてならなかった。



「チィっ! 仕方ねぇ! おい『サモナー』! 20秒あればまともなモンスターを召喚できるんだよな!?」


「は、はい!」


「……よし! みんな何とか20秒持ち堪えろ! 『サモナー』の召喚したモンスターを囮にして撤退するぞ!」


「「「了解!!」」」



 ……それしかないだろう。

 僕はその役目をこなすため、必死にマナをチャージする。

 1秒でも早く、仲間達を助けるために。



「クっ……、オイまだか! もう20秒経つだろ!?」



「い、行けます! ストーンゴーレム召喚!」



 僕の呼び声に応えるように、先程よりも大きな魔法陣が発生し、そこから岩でできたゴーレムが召喚される。

 ストーンゴーレムはオークよりも二回り近く大きな巨体であり、オーク達はその出現に一瞬動揺したようであった。



「よし今だ! ズラかるぞ!」


「「「応!」」」



 ダンテの合図に反応して、パーティメンバーがバックステップで距離を取る。

 僕もそれに続き、後退しようと足に力を入れる――が、



「おっと、お前はここに残って足止めするんだよ」



 そう聞こえたのと同時に、足の力が抜ける。

 否、力が抜けたのではない。

 両足の膝から下を斬り飛ばされ、力を入れる先がなくなっていた。



「ぐぁっ!?」



 僕はそのまま無様に地面を転がる。

 腕は動くが、混乱してまともに受け身が取れなかった。

 そんな僕に対し、ダンテは薄ら笑いを浮かべ、



「あばよ、『サモナー』」



 そう言い残して、凄まじい勢いで戦場を離脱していく。



(う、嘘だろ……?)



 混乱する頭が現実を受け入れられず、そんな言葉しか浮かんでこない。

 しかし、そんな僕にはお構いなしに、現実は残酷さを突きつける。



「グヘぇ……」



 生暖かい息が耳にかかる。

 気づけば僕は、オークに組み敷かれていた。



 ああ……、どうやら僕の人生は、ここで終わってしまうようだ……







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