「はあはあはあはあ」
「んあ……やあ」
我慢出来なくなった薫は伊月の下のお口へ、ズッポリと沈めていく。ミチミチと肉の避けるような音が薫のイチモツを包み込みながら、キュンキュン締め付けてきた。ブルっと肩を震わすと意識を手放しそうになる。微かに残っていた理性が弾き飛び、そのたびに貪るようにピストンを早めた。
「奥、奥、もっとぉ」
「逃げんなよ」
体制をバックに変えると、より深く入るように伊月の足を思いっきり広げ、上半身はへたり込むように抑えていく。ギッギッとベッドの軋む音が頭に響いて離れない。奥に到達しているのに、もっともっと、と腰を上げる姿はまるで快楽を貪る獣のように見えた。
2人の額には汗が滲んでいる。伊月に限っては涙と鼻水でぐちゃぐちゃで、いつもの伊月とは違ったエロさがあった。
「いった……いっ」
突く力が強くなっていたようで、血が滲んでいる。いつもの薫ならこんな無理矢理みたいにはしないのに、伊月が痛がっている声さえも、刺激になってしまう。
「ああっ、痛い……きもちぃ」
媚薬の影響だろうか、それは薫に限った事ではなかった。伊月も痛みさえも甘い快感へと脳内で変換されているようで、薫を身体中で求めるように力を入れ、薫のをより一層、離さないように締め付けた。
ドプドプと伊月の体内に出し続けている。奥まで1滴も残さずに飲ますと、バタッと覆い被さるように倒れ込んだ。伊月はそんな薫の体を支えるとそのままの体制で意識を手放した。
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頭がガンガンする。自分が今まで何をしていたのか覚えていない薫は、目の前に裸で倒れ込んでいる伊月を見て、焦ったように動いた。下半身に違和感を感じた薫は、伊月の中に入ったままのムスコを見て、何がどうなっているのかパニックになりそうだった。
「……ん。おはよ」
何事もなかったかのように、薫の胸から伊月の可愛い顔を見せてくる。固まっている薫を不思議そうに眺めると、優しく抱きつき、囁いた。
「大丈夫だよ、薫」
「……」
大切にしたかったはずなのに、目を赤くしている伊月に気づくと、こんなふうにした犯人は自分だと言う事に気づき始めた。
「昨日の事、覚えてる?」
「……途中までなら」
そう、途中まではちゃんと覚えている。伊月の匂いを嗅いだら、甘い香りに包まれて……そこから記憶がない事を説明すると、納得したように頷いた。
「僕が打たれたのはヴィーナスと言う媚薬だよ。まだ表には出ていない代物で、僕が管理してたんだけど……」
気まずそうに話を続けながら、目を逸らす。するとペロッと舌を出して「盗まれちゃってた」と可愛子ぶっている。きちんと管理していたはずが、身近な人間の裏切りで、試し打ちされたようだ。
「……はぁ」
怒るを通り越して、呆れている薫は頭を抱えながら話を聞くしかなかった。どう反応すればいいのか、悩んだ部分も多かったが、とりあえず正気に戻って良かったと思う事にする。
考えながら、ふと思った。伊月だって正気を失っていたはずなのに、どうして詳しい説明が出来るのだろうか。疑問をぶつけると、スマホを見せてくれた。
夏樹からメッセージが入っている。よく見ると桐也から聞いた時の状況と、伊月に何が起こっていたのかの説明が書かれていた。そして、その後に「楽しんで」と締めくくられている。
お互いが正常じゃない状態で、そんな事を言われても納得出来ない薫は、うんざりした表情でスマホを伊月に返す。
「……夏樹、楽しんでないか?」
「あいつは、いつもあんな感じだよ」
慰めにもならない。薫はいつまでもこの体制はマズイと思い、立ち上がる。そんな薫を恥ずかしそうに見つめながら、布団にくるまっている伊月。なんだかそわそわしている伊月を不思議に思いながら、脱ぎ捨ててある服を手繰り寄せ、伊月に渡した。
「媚薬が原因でもやりすぎた、ごめん」
「僕のセリフだよ、それ」
ふっと苦笑いをする2人は、いつもの調子を取り戻しつつある。
「服着ないと、風邪引くぞ」
「……うん」
どうも見られたくないようだ。何度もお互いの裸を見ているのに、恥ずかしがる伊月は可愛らしい。悪戯心が芽生えてしまった薫は、ゆっくりと布団をめくろうとする。
「!! ダメ」
バフッと音を立て、阻止すると、よりキツく布団を抱きしめ、離さない。何があったのかと心配し、手を伸ばした薫の方を向き、ぷくっと頬を膨らませた。
「……ついてるの」
「何が?」
「体中にキスマークがついてるの」
目をつぶりながら赤面する伊月の言葉で、薫は持っていた自分の服を落としてしまった。見てみたい気持ちもあるが、そんな事、伊月は許さないだろうと、少し落胆してしまう。
「犯人は薫だからねっ」
「……はは」
した覚えは無いが、無茶苦茶にしたような気はしている。今になって恥ずかしくなってきた薫にトドメをさすように言った。
「次は薫の番だからねっ」