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第18話 キスマーク


 「はあはあはあはあ」

 「んあ……やあ」


 我慢出来なくなった薫は伊月の下のお口へ、ズッポリと沈めていく。ミチミチと肉の避けるような音が薫のイチモツを包み込みながら、キュンキュン締め付けてきた。ブルっと肩を震わすと意識を手放しそうになる。微かに残っていた理性が弾き飛び、そのたびに貪るようにピストンを早めた。


 「奥、奥、もっとぉ」

 「逃げんなよ」


 体制をバックに変えると、より深く入るように伊月の足を思いっきり広げ、上半身はへたり込むように抑えていく。ギッギッとベッドの軋む音が頭に響いて離れない。奥に到達しているのに、もっともっと、と腰を上げる姿はまるで快楽を貪る獣のように見えた。


 2人の額には汗が滲んでいる。伊月に限っては涙と鼻水でぐちゃぐちゃで、いつもの伊月とは違ったエロさがあった。


 「いった……いっ」


 突く力が強くなっていたようで、血が滲んでいる。いつもの薫ならこんな無理矢理みたいにはしないのに、伊月が痛がっている声さえも、刺激になってしまう。


 「ああっ、痛い……きもちぃ」


 媚薬の影響だろうか、それは薫に限った事ではなかった。伊月も痛みさえも甘い快感へと脳内で変換されているようで、薫を身体中で求めるように力を入れ、薫のをより一層、離さないように締め付けた。


 ドプドプと伊月の体内に出し続けている。奥まで1滴も残さずに飲ますと、バタッと覆い被さるように倒れ込んだ。伊月はそんな薫の体を支えるとそのままの体制で意識を手放した。



■□■□■□■□



 頭がガンガンする。自分が今まで何をしていたのか覚えていない薫は、目の前に裸で倒れ込んでいる伊月を見て、焦ったように動いた。下半身に違和感を感じた薫は、伊月の中に入ったままのムスコを見て、何がどうなっているのかパニックになりそうだった。


 「……ん。おはよ」


 何事もなかったかのように、薫の胸から伊月の可愛い顔を見せてくる。固まっている薫を不思議そうに眺めると、優しく抱きつき、囁いた。


 「大丈夫だよ、薫」

 「……」


 大切にしたかったはずなのに、目を赤くしている伊月に気づくと、こんなふうにした犯人は自分だと言う事に気づき始めた。


 「昨日の事、覚えてる?」

 「……途中までなら」


 そう、途中まではちゃんと覚えている。伊月の匂いを嗅いだら、甘い香りに包まれて……そこから記憶がない事を説明すると、納得したように頷いた。


 「僕が打たれたのはヴィーナスと言う媚薬だよ。まだ表には出ていない代物で、僕が管理してたんだけど……」


 気まずそうに話を続けながら、目を逸らす。するとペロッと舌を出して「盗まれちゃってた」と可愛子ぶっている。きちんと管理していたはずが、身近な人間の裏切りで、試し打ちされたようだ。


 「……はぁ」


 怒るを通り越して、呆れている薫は頭を抱えながら話を聞くしかなかった。どう反応すればいいのか、悩んだ部分も多かったが、とりあえず正気に戻って良かったと思う事にする。


 考えながら、ふと思った。伊月だって正気を失っていたはずなのに、どうして詳しい説明が出来るのだろうか。疑問をぶつけると、スマホを見せてくれた。


 夏樹からメッセージが入っている。よく見ると桐也から聞いた時の状況と、伊月に何が起こっていたのかの説明が書かれていた。そして、その後に「楽しんで」と締めくくられている。


 お互いが正常じゃない状態で、そんな事を言われても納得出来ない薫は、うんざりした表情でスマホを伊月に返す。


 「……夏樹、楽しんでないか?」

 「あいつは、いつもあんな感じだよ」


 慰めにもならない。薫はいつまでもこの体制はマズイと思い、立ち上がる。そんな薫を恥ずかしそうに見つめながら、布団にくるまっている伊月。なんだかそわそわしている伊月を不思議に思いながら、脱ぎ捨ててある服を手繰り寄せ、伊月に渡した。


 「媚薬が原因でもやりすぎた、ごめん」

 「僕のセリフだよ、それ」


 ふっと苦笑いをする2人は、いつもの調子を取り戻しつつある。


 「服着ないと、風邪引くぞ」

 「……うん」


 どうも見られたくないようだ。何度もお互いの裸を見ているのに、恥ずかしがる伊月は可愛らしい。悪戯心が芽生えてしまった薫は、ゆっくりと布団をめくろうとする。


 「!! ダメ」


 バフッと音を立て、阻止すると、よりキツく布団を抱きしめ、離さない。何があったのかと心配し、手を伸ばした薫の方を向き、ぷくっと頬を膨らませた。


 「……ついてるの」

 「何が?」

 「体中にキスマークがついてるの」


 目をつぶりながら赤面する伊月の言葉で、薫は持っていた自分の服を落としてしまった。見てみたい気持ちもあるが、そんな事、伊月は許さないだろうと、少し落胆してしまう。


 「犯人は薫だからねっ」

 「……はは」


 した覚えは無いが、無茶苦茶にしたような気はしている。今になって恥ずかしくなってきた薫にトドメをさすように言った。


 「次は薫の番だからねっ」

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