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第11話 初めての感覚


 執拗に愛撫する薫はいつの間にか体制を変えた。イッてしまいそうな所で伊月の口からイチモツを引き抜き、理性で保つ。伊月の顔を覗き込むと涙を溜め、歯を食いしばって耐えていたようだった。


 「どうしたの? かお……」


 話しかけようとした伊月の顔を撫でると舌先を首元に這わせていく。美味しそうにじっとりと堪能していると、ピクピクと体が反応をしている。その姿を見ているだけで、温もりを感じているだけで頭の中に微かに残っている理性がガタガタと音を立てながら、崩れていく。


 右首に思いっきり吸い付くと蚊に刺されたように赤くなっていく。それを何度も繰り返し、誰にもとられないように、自分の跡をくっきりと残した。


 「我慢しなくていい」

 「いじっ……わ……る」


 こんな姿を見れるのは自分だけなんだと、幸福感が胸を満たしていく。今までぽっかり穴が開いていた孤独はこうやって触れ合う事で塞いでいくんだと薫は実感した。本当は今すぐにでも貫いて、思いっきり感じて、泣きじゃくる伊月をもっと壊してやりたい衝動が増加している。だが、まだこの甘く、くらくらする時間を大切にしたいとも感じた。


 「俺達はかなり遠回りをしてきた。だからその時間をゆっくり取り戻していこう」


 薫はそう囁くと返事の代わりに首に手を回して思い切り抱きついてくる。それが嬉しくて堪らない。


 薫はチュッとおでこにキスをすると右手をおしりへと伸ばした。トントンと軽く刺激をするときゅっと指を締めてくる。まだほぐれていない内部をゆっくりとローションを垂らして、弄び始めた。


 「もしかして初めて?」

 「うん」


 恥ずかしそうに頷くと伊月は手で顔を隠そうとする。それが気に食わない薫は左手で手を退けた。すると肩を揺らしながら、呼吸を乱しているりんごのように熟れた伊月の様子が可愛くて、薫は舌なめずりをした。


 ちゅくちゅくと部屋中に響いている。その度に可愛らしい声をあげ、理性を吹っ飛ばした伊月が出来上がっていく。


 「やば……イきそう」

 「じゃあ、やめようか」

 「えっ」

 「だって耐えれないんだろ? ほら息を整えて」


 この繰り返しでイキたいのにイケない環境を作り出していく。これはポリネシアンセックスだ。通常は5日に1度入れる、後は愛撫をして挿入すると30分は動かずそのまま放置する。そうやって肉体だけではなく心の絆を強固にしていく。動いていないのに身体は勝手に反応し、ぐすぐすに煮えていくようなものだ。薫がしているのは、それを簡略化したものに過ぎない。


 こうやって体にも心にも感覚をゆっくりじっくり教えていくと、互いが離れられない存在に変化していく。勿論普通のセックスの何倍も、何十倍も強い快楽を得る事ができるのだ。


 「下のお口もほぐれてきたね。俺のを咥え込みたくてうずうずしてるみたいだ」


 怪しく微笑むと快楽を刻み込むように、ゆっくりと挿入していく。


 「っ……き、つ」

 「まだ半分も入ってない……うっ、狭いな」


 ズッズッと奥に当てようと思い切り貫くと2人の視野がパッと明るくなった。ちかちかしていて、ふわふわしている。こんな感覚、初めてのようだった。

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