街に戻った私達は、神殿で祝福を受ける。
今回は魔族との戦いがあり、さらに邪神の力を取り込んだアコライト魔族との戦いがあったことで、みんなそれぞれ冒険者としてのランクが上がり、スキルのレベルが上昇したり新しいスキルを覚えたりした。
初めての冒険はともかく、続けてランクが上がることは珍しいので、相当手強い相手だったと言えるだろう。
また、神殿で今回の事の顛末をかなり詳しく話を伝える必要があった。
村を出てくる前に調査に来た冒険者達にも伝えたのだが、邪神に関することということで神殿でも高位のセージが調査をするようだった。
すでにあの村の伝承はある程度調べられているということで、私達にもその情報が共有される。
いわく、あの神像は村ができた時に建てられたそうなのだが、当時村を開拓した英雄をモデルにしているとのことだった。
つまり、伝統的な神ではなく、新しい英雄神といったところだろうか。
召喚されたのが英雄神だったのか、英雄神の神像を媒体に邪神が召喚されたのか、そもそも神像に宿る神力だけを何らかの方法で操ったのかはわからないとのことだった。
ただ、実際に邪神に取り憑かれている身としては、その正体が英雄神にせよ本当の邪神にせよ、何かが召喚されたのは間違いないだろう。
今回、私はプロテクションとホーリーウェポンのレベルだけでなく、攻撃手段としてホーリーライトも新たに覚えた。
私としては支援アコライトで行くつもりだったのだが、ここには邪神の意思が介在していた。
(ホーリーライトも使えるようになっておけ)
祝福を受けている時に突然聞こえてきた声に私は危うく驚きの声を上げるところだった。
(あまり介入するつもりはないが、もしもの時に攻撃手段があれば、我はそれを増幅してやることができる)
邪神によれば、魔族との戦いのように邪神の力を行使することは身体の負担が大きいが、自分の力を邪神に増幅してもらう分には負担も小さいとのことだった。
私としてもアコライト魔族に対して攻撃する手段がなく、リカードを回復させるのが精一杯で攻撃する手段がなかったのは悔しかったので、邪神の言葉に素直に従っておくことにした。
報酬もなにせ魔族が相手だったこともあって、かなりの金額が支給された。
フランツはそのお金で念願の新しい槍を購入できた。
他のみんなも武器や防具を新調することができ、かなりのパワーアップを果たしたことになる。
今後、ますます強力な敵と戦うことになりそうなので、しっかりと装備を新調できたことは心強いところだ。