次の日、身体も相当回復したことを感じ、そろそろ神殿に帰還することにした。
また、この三日間でもフランツを中心に色々と動いてもらっていた。
まず、そもそもの依頼であった御神体の回収である。
レイに介抱してもらっている日、フランツとリカードは村の者たちを伴って御神体の回収に向かっていた。
フランツは護衛、リカードは罠が残っていないかと、万が一新たな敵が侵入していた時にいち早く危険に気づき、村人達を避難させる役割だ。
本当はレイもいるほうが良いのだが、三人の中で抜けるとするならば戦力的な問題はともかく、何かあれば撤退という手段を用いるのであればレイが抜けるのがマシという判断だった。
そうして御神体は無事に洞窟から回収され、今は元あった場所へと戻されている。
これでひとまずは依頼達成ということにはなった。
ただ、あの怪しい魔族達が邪神を呼び出す依代に使った影響があるかもしれない、これからも狙われる可能性があるかもしれないなどの懸念があった。
それに関してはさらに事前に村人にお願いをして神殿に書状を渡してもらっている。
直接神殿に報告に行くべきなのだが、その間この村に冒険者が不在なのも危険だろうということを伝えておいた。
そろそろ代わりに村を守ってくれる冒険者がたどり着く頃合いなので、出立の準備を始める。
「どんな人達が来るのかな〜」
「魔族が来るかもしれないんだから、それなりに経験豊富なのが来るんじゃない?」
「どうだろう? 確定情報じゃないから、そこまでベテランは配置できない気もするね」
三人も興味津々な様子で、誰が来るのかを予想していた。
実際のところ、そこまでベテランが配置されることはないだろう。
だが、邪神について調べる人はそれなりに高位のアコライトが来るような気がする。
私に憑依していることは隠しているが、それでも低レベルとはいえ私達のパーティーが一瞬で全滅の危機に瀕した邪神が村の中で再び召喚されるようなことがあれば大問題だからである。
みんなで予想しながらその日を過ごしていると、高位のアコライトを含んだ冒険者が夕刻になって到着し、入れ替わりに私達は神殿へと帰ることになった。
かくして、村の御神体が盗まれたことから始まり、邪神に取り憑かれるというとんでもない事態が起こった今回の事件も一旦は終了した。
とはいえ、取り憑いた邪神をどうするのか、御神体と邪神との関係はあるのかなど、まだまだ謎は多いのであった。