「う〜ん」
激しい頭痛に悩まされながらもなんとか目を覚ます。
すると、目の前に三人の少年達の姿があった。
「タカヒロさん」
「タカヒロ」
「にーちゃん」
三人がそれぞれ、私の名前を呼ぶ。
いつも感情表現豊かなリカードだけでなく、クールなレイ、感情を出すのが下手なフランツまで、涙を流しながら感動していた。
自分の状態を確認すると、ベッドの上に横たわっている。
どうやら、フランツ達が気を失った私を村まで運び込んでくれたらしい。
「えーと、わたしはどのくらい眠っていたのかな?」
「丸三日です」
言われてみれば、すさまじい空腹を感じる。
点滴のないこの時代に三日も栄養を摂っていなければ、かなり危険な状態な気がする。
「にーちゃん、これ飲んで!」
そう考えていると、リカードが温めたミルクを持ってくる。
いきなり固形物の入ったものではなく水分、しかも栄養価の高いものをきちんと選んできたのは意外と賢い。
牧場があるから新鮮な牛乳が取れるということもあるかもしれないが。
「無理せずゆっくり飲むんだよ」
レイが私を気遣って声をかけてくる。
いつもはツンツンしているレイも、今は本気で心配してくれているらしい。
というか、三人ともかなり心配してくれたのは間違いない。
「失礼します」
フランツはミルクが飲みやすいように、優しく私を抱き起こし支えてくれる。
この辺りは流石ウォーリアだけあって、私の身体を支えるくらいはお手の物らしい。
「ありがとう」
私はフランツにお礼を言いながら、ミルクを口にする。
幸い、特に身体が受け付けないということもなく、ゆっくりとだが飲むことができた。
「やったー! 何か、もうちょっとお腹にたまるものをもらってくるね」
リカードは心底嬉しそうな表情を見せ、バタバタと扉から出ていく。
「まったく、落ち着きがないね」
そんなリカードにレイが苦笑を漏らす。
いつものようなトゲはないものの、少し気持ちに余裕が出てきたのかもしれない。
「タカヒロさんが無事で……本当に良かったです」
そんな中、私の身体を支えていたフランツにそのまま抱きしめられる。
レイがまだ部屋にいるというのにそんなマネをしてくるというのは、相当心配してくれていたのだろう。
レイも私の手を握ってくる。
「スープをもらって……あっ、二人ともズルいっ」
スープを持ってきてくれたリカードもそれをテーブルの上に乗せると、レイとは逆側の腕に抱きついてくる。
「本当に心配をかけたようだね」
私は三人の頭を順番に撫でていく。
本当に愛されているんだなと改めて感激するのだった。