リカードを先頭に広間になだれこむ私達。
しかし、アコライト魔族以外の四体がこちらの動きを察知する。
やはり、一緒に祈りを捧げているというよりは護衛だったらしい。
素早く展開した四体の敵は、リカード以上の速さでこちらに接近してくる。
先に近づいてきた二体がリカードへとその刃を振るう。
「させない!」
だが、敵とリカードの間にフランツが割り込み、敵の攻撃を盾で封じる。
もう一体の攻撃はフランツの身体に迫るものの、私のプロテクションの魔法によって弾かれる。
「ちっ!」
敵は舌打ちをすると、身体を横に反らした。
隙間が空いたところからは残りの二体の姿が見え、弓矢をつがえているのがわかる。
一斉に放たれた弓がレイと私を襲う。
「そう簡単に!」
だが、この攻撃にもフランツは反応してみせる。
一番防御力の低いレイへの攻撃を、盾を使ってしっかりとガードした。
私も自らの攻撃をプロテクションで防ぐ。
もっとも、防ぎきれずに肩にかすり傷を負ってしまったが。
「タカヒロさん、大丈夫ですかっ」
「大丈夫、集中していこう。今度はこっちの番だよ」
敵が先に攻撃してきたこともあり、あえて待機しているリカードの武器に聖なる力を宿らせる。
「おいらより速いのには驚いたけど、一箇所に集まると危ないよっ。ワイドアタック!」
前回よりも一回り大きいダガーを構えたリカードが敵陣に飛び込むと、目にも止まらぬ速さで四体の敵を切り刻む。
素早いがその分鎧は軽装だったようで、リカードの攻撃は確実に四体にダメージを与える。
「このまま一気に片付けちゃおうか。エアリアルスラッシュ!」
続いてレイの魔法が弓矢を放った敵を斬り刻む。
すでにリカードの攻撃で負傷していた敵は、そのまま地面に倒れ伏した。
「僕も負けてられないな。バッシュ!」
フランツも目の前の敵に強烈な一撃を喰らわせる。
こちらもその攻撃でふっとばされて倒れ伏した。
「おのれっ」
敵が怒りの声を上げながら反撃してくる。
だが、すでに半壊した戦力では勝ち目はなく、すぐに全員が地面に横たわることとなった。
「楽勝だね〜」
「バカ、まだボスが残っているんだぞ」
「そうだ、あの儀式を止めないと!」
リカードが思わずおちゃらけるも、すぐにレイとフランツに注意される。
前回のゴブリン戦並に楽な戦いだったのでリカードの気が緩むのも仕方がないかもしれないが、その理屈で言えばあのアコライト魔族は相当強い可能性がある。
さらに、儀式が完成すれば何が起こるかわからない。気を引き締めて臨まなければ。