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第09話 護衛との戦い

 リカードを先頭に広間になだれこむ私達。


 しかし、アコライト魔族以外の四体がこちらの動きを察知する。


 やはり、一緒に祈りを捧げているというよりは護衛だったらしい。


 素早く展開した四体の敵は、リカード以上の速さでこちらに接近してくる。


 先に近づいてきた二体がリカードへとその刃を振るう。


「させない!」


 だが、敵とリカードの間にフランツが割り込み、敵の攻撃を盾で封じる。


 もう一体の攻撃はフランツの身体に迫るものの、私のプロテクションの魔法によって弾かれる。


「ちっ!」


 敵は舌打ちをすると、身体を横に反らした。


 隙間が空いたところからは残りの二体の姿が見え、弓矢をつがえているのがわかる。


 一斉に放たれた弓がレイと私を襲う。


「そう簡単に!」


 だが、この攻撃にもフランツは反応してみせる。


 一番防御力の低いレイへの攻撃を、盾を使ってしっかりとガードした。


 私も自らの攻撃をプロテクションで防ぐ。


 もっとも、防ぎきれずに肩にかすり傷を負ってしまったが。


「タカヒロさん、大丈夫ですかっ」


「大丈夫、集中していこう。今度はこっちの番だよ」


 敵が先に攻撃してきたこともあり、あえて待機しているリカードの武器に聖なる力を宿らせる。


「おいらより速いのには驚いたけど、一箇所に集まると危ないよっ。ワイドアタック!」


 前回よりも一回り大きいダガーを構えたリカードが敵陣に飛び込むと、目にも止まらぬ速さで四体の敵を切り刻む。


 素早いがその分鎧は軽装だったようで、リカードの攻撃は確実に四体にダメージを与える。


「このまま一気に片付けちゃおうか。エアリアルスラッシュ!」


 続いてレイの魔法が弓矢を放った敵を斬り刻む。


 すでにリカードの攻撃で負傷していた敵は、そのまま地面に倒れ伏した。


「僕も負けてられないな。バッシュ!」


 フランツも目の前の敵に強烈な一撃を喰らわせる。


 こちらもその攻撃でふっとばされて倒れ伏した。


「おのれっ」


 敵が怒りの声を上げながら反撃してくる。


 だが、すでに半壊した戦力では勝ち目はなく、すぐに全員が地面に横たわることとなった。


「楽勝だね〜」


「バカ、まだボスが残っているんだぞ」


「そうだ、あの儀式を止めないと!」


 リカードが思わずおちゃらけるも、すぐにレイとフランツに注意される。


 前回のゴブリン戦並に楽な戦いだったのでリカードの気が緩むのも仕方がないかもしれないが、その理屈で言えばあのアコライト魔族は相当強い可能性がある。


 さらに、儀式が完成すれば何が起こるかわからない。気を引き締めて臨まなければ。

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