石像を運べる広さのある通路を発見した私達はリカードに先頭に立ってもらい、慎重に奥へと歩を進める。
「みんな、ちょっと待って。罠が仕掛けられてる」
リカードが珍しく真剣な表情をして私達を止める。
私にはよくわからないのだが、シーフズツールを使って地面に何か行っている。
おそらく、落とし穴か何かが仕掛けられているのだろう。
「オッケー。これでもう大丈夫だよ〜」
「しかし、罠が仕掛けられていたということは、ここに誰か居たってのは確実だね」
「ああ。石像を盗み出した盗賊たちがアジトにしている可能性が高まったな」
リカードが作業を終え、私達に手を降る。
私達はリカードのもとに集まって再び協議を開始した。
リカードによると、前回ゴブリンが仕掛けた罠よりも明らかに高度で、人間か人間並みの知能を持った魔物が設置したものだということだった。
隠し扉のさらに奥にある罠というのは、ここになにかがあることを証明しているようなものだった。
その後も数々の罠をリカードが解除していき、どんどん盗賊達の根城に近づいていることがわかる。
フランツを始め、みんな臨戦態勢を取りながら洞窟の中を進んでいく。
するととうとう、人の話し声が聞こえ始めた。
いつも通り、リカードが偵察に行ってくれる。
中をこっそりと覗き見ると、すぐに戻ってくる。
「なんか、変な儀式をしてたよ」
「変な儀式? もうちょっとちゃんと伝えられないの?」
「んー。石像の前でアコライトっぽい魔族がなにか祈りを捧げてた。他にも四体いて、そいつらも一緒に祈ってたっぽいけど、そいつらはアコライトではなさそうだった」
「つまり、敵のボスはアコライト魔族で、他の奴らは護衛ってことか?」
「多分……」
リカードの話の内容的に、アコライト魔族がボスで他の魔族は手下なんだろう。
とにかく、その五体が石像を盗み出した。
そして、何故かその石像というか御神体に祈りを捧げていたと。
この地を守る御神体に祈りを捧げる意味はわからないが、御神体を依り代に自分達に都合の良い何かを呼び出そうとしているのだろうか。
「なるほど。この地を守る神ではなく別の何かを呼び出そうとしているなら、わからなくはないかもしれません」
「もしかしたら、ここの神様ってのが悪い神様って可能性もあるかもしれないよ?」
「う〜ん、でも、それなら村ごと悪い人達だろうから、わざわざ盗む必要ないんじゃない?」
「そうだろうな。タカヒロさんの言うように、御神体を依代に別のなにかの線が強そうだ」
私の推理を下に、三人が話し合う。
どちらにせよ、このまま放置しているのはまずそうだということで突入の準備をする。
いつも通り、フランツとリカードが前衛、レイと私が後衛だ。
可能なら不意打ちをしたいということで、一気に踏み込むことにする。