朝食を食べ終えた私達は、早速盗まれた御神体の捜索を始めた。
村の中で目撃者はいないということで、村人が寝静まった深夜に行われた可能性が高かった。
村人たちは仕事柄、夜明け前から仕事を始めるので、現代で言う10時〜2時頃に行われた可能性が高そうだ。
現代の感覚からすれば早いが、特に山間部の村では日が落ちれば真っ暗になるし、朝早くの仕事の関係でその時間には起きていないだろう。
「たくさん侵入してきたらわかりそうだから、少ない人数で盗んだのかな〜」
「でも、重いものを運ぶならそれなりの人数が必要だろう。魔物という可能性もあるが、それなら足跡でわかるだろうし」
「変な足跡はなかったんだよね? ということは、人間だとしてもただのブーツやサンダルってことか」
「重いものを運んでいるなら、足跡も深くなりそうだけどね。乾いた地面だと分かりづらいのかな」
早くも迷宮入りになりそうな状況だが、それなりの人数が潜伏できそうな場所が村の近くに存在しているという情報が得られた。
そこに盗賊団がいるのかどうかは不明だが、他に何も情報がない中でひとまず確認しに行こうということになった。
「これであっさり見つかったら間抜けすぎるね」
「早く解決したほうが楽で良いんじゃな〜い」
「見つかった場合は敵がいるってことなんだから、もう少し緊張感を持ってくれ」
相変わらず軽いノリで冒険しているショタ達を見ているのは非常に楽しい。
とはいえ、リカードは罠などがないか目を光らせているし、フランツだけでなくレイもいつでも戦闘に移れるように準備しているように見える。
ショタのやり取りを微笑ましく見ている私が一番緊張感が抜けていそうだ。
「さすがにそう簡単には見つからないか」
「リカード、ちゃんと隠し扉がないか調べてる?」
「調べてるよ〜。広いんだから、もうちょっと待ってよ」
洞窟には誰もいなかったものの、確かに十人以上の人間が隠れられるような空間があった。
入口から現在の場所まで決して狭い道幅でもなかったので、石像を運びながら移動するということも不可能ではなさそうだ。
「あれ? ここの壁、少し削れてないか?」
「何か風の流れがおかしいような気もするね」
「ありがと〜。そこを重点的に調べてみるね」
それぞれが洞窟の異変に気づき、調査する。こういう時、現代の知識で隠し扉を見つけるのがテンプレかもしれないが、そもそも現代で洞窟なんて入ったこともないので知識がない。
結果、一人お荷物になっている気がする。
「あ! ここに隠し扉があるよ!」
一人で内省していると、リカードが少し大きな声を上げる。
壁の微妙な違和感を発見したらしい。罠がないかを確認し、みんなで協力して扉を開ける。
そこには、ここに来るまでと同じような通路が続いていた。