神殿に持ち込まれた依頼と、珍しい食材の情報を並行して集めると、なかなか良さそうな依頼が見つかった。
依頼内容自体は『盗賊に奪われた村の宝を取り戻してほしい』というものだったが、そこのご当地食材が非常に美味な肉ということだった。
依頼を果たせばお礼に肉も貰えるかもしれないし、そうでなくとも報酬でご当地料理を食べることはできるだろう。
「おっにく、おっにく~」
「浮かれ過ぎでしょ」
「そうだぞ、リカード。ちゃんと依頼を達成させることをまず考えるんだ」
「も~、フランツはいつも真面目だな~」
「それがフランツの良いところだよね」
浮かれるリカードに相変わらずレイが冷たく当たる。
今回はフランツもそれに同意し、リカードが不満を漏らすも、それは私がフォローした。
「いい加減すぎるのも堅物すぎるのもどうかと思うけどね」
「レイみたいにツンツンしているのもどうかと思うけどね~」
「はあ? 喧嘩売ってるわけ?」
「売ってないも~ん」
「リカード、レイ、ピクニックじゃないんだぞっ」
レイが今度はフランツに標的を移す。
それに対し、今度はリカードが言い返す。
また口論が始まり、フランツが二人を注意するのだった。
緊張感がなさすぎるのは危険だと思いつつ、前回の冒険で村に向かう際に魔物に襲われたことがトラウマになっていないことは良かった。
村までそれなりの距離を歩くのは辛いところだが、ショタ達の仲睦まじい様子を眺めながらの道中はショタコンには堪らない幸せな時間である。
レイとリカードも『喧嘩するほど仲が良い』という感じで、じゃれ合っているだけという感じだ。
「牛がいっぱいいるよ~」
「お目当ての食材ってことだね」
「レイ、その言い方はどうなんだ……」
村に近づくと牛が放し飼いにされていた。
もちろん柵はあるのだが、かなり広い面積で放し飼いにされ、まさに道草を食っていた。
とはいえ単なる雑草というわけではなさそうで、いくつかの種類の草が植えられているようだった。
自由に動き回り、自由に複数の草を食べることで美味しい肉牛に育つということだろう。
まさに牧歌的と言える風景に癒やされつつ進んでいくと、人の住む村が見えてくる。
依頼主は村長だったので、道行く人に村長の家を訪ねる。
村長の家は村の奥にある大きな建物ということで、私達はそこに向かうのであった。
村長の家に向かう途中で謎の台座が視界に入る。
これだけだとなんだかさっぱりわからない。
その正体は、村長に話を聞くことで明らかになるのだった。