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覇業の5 帝都への帰還

 ソイソスたんは、ばいんばいんのないすばでーになれず、自分がチンチクリンのお子様体型になっていた事にかーなり凹んでいた。


「ワシのびゅーてほぉーな美貌がー! この姿からだとばいんばいんのないすばでーになるのにあと百年はかかってしまうではないかー!!」


 あのー、それ世間ではぜいたくな悩みといいます。

 若さを保つのに世間の女性方がどれだけ苦労してると思ってるんすか、アンタは。


 あと百年はあの姿で生きられるってのなら、飽きるまで子供を満喫できるのにあー勿体ない、勿体ない。


 まあいいや、それよりもオレの計画にソイソスたんも乗ってもらわないと。


「あのー、とりあえず、そっちの言う事は聞いてあげたんだから、オレの頼みもきいてくれないっすかねー?」

「な、なんじゃ。ワシに体で返せというのか!? まあ、してやらんことも無いが、お前は幼女趣味の変態なのか?」


 そういってソイソスたんは胸をはだけさせて不敵な笑みを見せて来たが、そんなぺったんこなもん見せられてもなんも感じんわ!


「アホかー!! だれもそんな事望んどらんわー!!」


 何を言い出すんだ、この脳内ピンク頭ロリババアは?

 そんなもんは夏と冬のコミックフェスティバルの薄い本だけで十分だっての。

 オレはノーマルなんだから、見た目の可愛さは好きだが手を出す気はない、これぞ変態紳士の心得、YESロリータNOタッチの精神だ。


「なんじゃなんじゃ、せっかく見た目は子供中身は成熟した女性を相手に出来るのに、勿体ないのう」

「あのー? それってどういう事ですの?」


 オレはチルドの頭を剣の柄で小突いた。


「やまかしい! お子様は知らなくていいんだっての!」

「ふええ、ひどいですのー、アタシ何もしてないのにー」

「おぬし、この娘にキツくありゃせんか……」


 そんなこと言われても、オレはコイツのせいで下手すれば成人の儀式を失敗して帝国の後継者になれない可能性だってあったんだぞ、そんな相手に優しくしてやれるほどオレは人の器大きくねえんだよ。


「そんなこと言ってもさー、ソイソスたんはソイツがどんな奴か知らないからそう言えるんだよ、オレそいつにどれだけ迷惑かけられたと思ってる?」

「アタシ何も悪い事してないですのー、それなのに言いがかりつけられてるですの」


 まったく、加害者の自覚のない奴はコレだから嫌なんだよな。

 まあいい、コイツにはコイツの使い道がある。

 それよりここに来た本題をソイソスたんに伝えないと!


「話ずれてるけどさ、ソイソスたんはオレの頼みを聞く気はあるのか?」

「何じゃ、言ってみろ」


 ソイソスたんは少し不機嫌そうに、はだけた胸をしまい込み、ふくれっ面でオレの話を聞いた。


「アンタは大賢者なんだろ。それなら古代文明の遺跡の事とか知らないか?」


 オレ、本当はどこの遺跡に何があるかまで全部わかってるんだけどね、でもわかってても扉を開くカギになる魔法とかを使えるのはこのソイソスたんしかいないんだよ。

 だーかーら、何が何でも主人公達よりも先にオレが古代遺跡を網羅してこの世界の重要アイテムを根こそぎ手に入れる必要があるって事だ。


「ほう、キサマ……まさかあの召喚戦争の古代遺跡について知っておるのか?」


 さっきまでロリ幼女のほわほわした表情だったソイソスたんが鋭い目でオレを睨みつけて来た。

 どうやらオレがこのゲーム世界での中盤以降で明らかになる世界の真実を冒頭ともいえる今の時点で話を出してきたからだろう。


「それで、キサマはどうするつもりじゃ? まさか、召喚戦争の時に封印された兵器を復活させようというのか?」

「そうだぜ! だから力を貸せ」

「へ??」


 ソイソスたんは冗談で言ったつもりの話をオレが本気で返したのでキョトンとしている。


「キ、キサマ……正気か? 何か悪いモノ食いすぎておらんか? 毒ザメの卵とか」

「ンな訳ねーだろ、オレは至って正常だってーの!」


 まあ、この世界の常識からすればオレのやろうとしている事は間違いなく非常識の塊だからな。


 ――召喚戦争――


 それは、かつての大昔にこの世界で起こった人間と亜人種の血で血を洗う戦争の事だ。

 機械文明を極めた人間と、精霊や異界の種族を呼び出す事の出来る亜人種の間で起こった戦争で、この戦いで世界の大半が壊滅したと言われるモノだ。


 実際このドラゴンズ・スターⅥのゲーム内でも重要なキーワードになっていて、この召喚戦争の時代の遺跡から古代兵器を発掘し、世界征服を企んだのが新帝グリル、つまり……今のオレの立場の皇帝って事だ。


 遅かれ早かれこの世界で起こる事をオレは早倒しで進めようとしている。

 それは本来のグリルは宰相ビーガンに唆されて古代文明の発掘を進めたからだ。


 あの宰相ビーガン、アイツは……序盤の雑魚ボスのはずなんだが、その後なぜか復活し、このゲームのラスボスになる存在だ……ってこれは大いなるネタバレか。


 って誰が聞いてるって訳でも無い事をオレはいったい誰に話しているんだ??


 まあいい、宰相ビーガンの正体はおいおい話すとして、今のオレがやろうとしているのは、アイツより先に皇帝としてオレが台頭する事で先に世界征服を進めてしまおうってとこだ。


 やはり男に生まれたなら一度は世界征服をしてみたいってもんだ。

 それにオレはこの世界のシナリオの先も地図も隠しアイテムすらもぜーんぶ把握している。

 だからソイソスたんを仲間にしたらまず何が出来るのかも把握済みだ。


 ソイソスたんを仲間にしたら次に仲間にするのは帝国軍を裏切る事になる女将軍ヴィネガーと旅の女剣士マヨ・オオモリの確保だ。


 この二人、ドラゴンズ・スターⅥではプレイアブルキャラとして出てくるが、彼女達も美人で結構な人気キャラなんだよな。

 くっころ系女騎士のヴィネガーとサムライガールといった風貌のマヨ、この二人も薄い本の常連だ。


 って、今考えたらドラゴンズ・スターⅥの主人公ってハーレムパーティーだったんじゃねーかよ!

 オレは効率を考えて、古代兵器ロボとビーストマスターな少年、それにギャンブラー竜騎士を仲間にしていたが、コイツラは多分今後俺の敵として出てくるんだろうなー。


 その前にさっさと帝国に戻ってから古代遺跡を発掘させないと!

 その為にはさっさとソイソスたん連れてここから戻ろう。


「まあ、よかろう。ワシの若返りの薬づくりを手伝ってくれたお前に力を貸してやろう。じゃが、もし……キサマが世界を破壊しようとするなら、ワシはキサマの敵になって全力で阻止するからな!!」


 いや、オレの目的は世界征服であって、世界の破壊じゃないから。


「大丈夫だってよ、オレは世界征服は目的でも、世界を破壊したいわけじゃねーんだから」

「そうか、まあ様子を見させてもらうとするわい」


 オレはソイソスたんとチルドを連れて帝都のバーべ宮殿に帰還した。


「おお、グリル殿下、お待ちしておりました。それで、そちらのお方は?」

「貴様にわざわざ伝える必要があるのか? 余計な口出しせず、さっさと食事の用意をしろ」

「承知……致しました」


 こんな所で暫定ラスボスにオレの仲間のパーティーの事をわざわざ伝える程オレはお人よしじゃない。


 さて、次はどう動くか、一旦玉座に座って考えよう。


 次に行くべきは北の遺跡か、ここに機械文明の遺産のパーツがあるからな。

 まずは小型飛行艇を手に入れないと話が進まない、これはゲームの序盤と同じルートを進めば問題なさそうだが、やはり保存食の事は考えないといけないな。


 さて、遺跡発掘に必要な人員の確保のために、帝国将軍のヴィネガーを呼び出すか。


 オレは宰相ビーガンに命じ、帝国将軍の一人ヴィネガー将軍を呼び出した。

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