刑が執行される日まで、僕は君のことばかり考えていた。僕とマリはお互いの記憶が消されてしまう…。そして、マリは現実世界に戻ってしまう…。ブレスレットに触れ、こんなことになってしまって申し訳ない、と君に気持ちを伝えた。でも、君はどんなことがあってもあなたのことを忘れない、と伝えてきたね。僕が弱気になってしまっていたのかもしれない。
「私がなんとかする。お前は演技しろ。いいな?」
僕は静かに
「こいつと、あの女のお互いの記憶を
「やってみよう。」
アシュレイは僕にウィンクしながら答えた。僕はアシュレイを信じるしかなかった。
そして、刑が執行される日がきてしまった。僕とマリには3分間だけ、面会時間が設けられた。
「マリ、こんなことになってしまって、…本当にごめん」
「ルークスのせいじゃないわ。」
「マリ、愛してるよ。」
「私もよ。」
僕は君を強く抱き締めた。
「時間だ。」
男の声と共に、僕たちは引き離され、別々の部屋に移動した。部屋にはベッドがあり、そこに腰をかけると、
「これを飲むんだ。」
と眠り薬を渡された。僕はおとなしく渡された薬を飲んで、ベッドに横になった。間もなくしてアシュレイが部屋に入ってきた。僕の頭に機械が取り付けられていく。僕は深い眠りについた。
「それでは始めよう。…ジュヌブリエ ジャメ メ プロシュ.ジュ スイ オ ボルド ド ラムール エテルネル!」
アシュレイは僕とマリの記憶を消さなかった。アシュレイは僕に演技しろ、と言っていたため、あとは僕の演技力にかかっていた。僕は眠りながら、目が覚めたらどうやって彼女の記憶を失ったふりをしようか、考えていた。演じてみせる、そう強く思った。
どれくらい眠っていたのだろう、目が覚めると頭に取り付けられていた機械も外されており、番人の男が声をかけてきた。
「調子はどうだい?ルークス。」
「…なんと言ったらいいのかわからないけれど、何か大切なことを忘れてしまったような、そんな気がします。」
「そうか、そうか。アシュレイ、成功だ。ありがとう。」
「まあ、私たちの使命だから、仕方ない。」
「…僕は一体何を忘れてしまったんですか?教えてください!!」
僕は大粒の涙を流して、必死に演じた。
「ルークス、この世界の法を犯した罰だよ。」
「罰…。僕が何をしたと言うんですか?」
「我々が教えることはできない。そういう決まりだからな。」
君はその頃にはもう、現実世界に戻ってしまっていただろう。そう思い、ほっと胸を撫で下ろすのと、なんだかとても寂しく、虚しい気持ちになった。腕のブレスレットが目に入った。アシュレイに目で合図を送った。アシュレイは僕に向かってウィンクをする。魔法はまだ効果ありそうだ。試しにブレスレットに触れてみた。マリが現実世界で元気に高校生活を送っている姿を見ることが出来た。再度、ブレスレットに触れて、愛してるよ、と伝えた。すると君から、私もよ、と返ってきた。
「…僕はもう二度と法を犯したりしません。誓います。」
「ああ、もう二度とここに来ることがないようにな!」
「本当にすみませんでした!」
「ルークス、もう帰っていいぞ。」
「お世話になりました…!」
そうして、僕は家に戻った。