村の近くまで高速移動バスに乗り、そこからシェルパによる案内で無事目的地に辿り着くことができた。
「ようこそ、私の名前はアシュレイだ。そろそろくる頃だと思っていたよ、ルークス。」
「アシュレイ、お願いです。このままでは僕とマリは引き離されてしまいます。魔法の力でどうにか出来ませんか?」
「おや、君はこの国の人ではないね?どうやってここに来たんだい?」
「私は…。」
「僕が彼女を呼んだんです。」
「なんだって!?
「マリを助けたい、そう強く願ったら、この世界に連れて来てしまいました。」
「転移ってことか?まあ、彼女を現実世界に戻す時にはまたここに連れてくるといい。」
「ありがとう、アシュレイ。」
「このままでは引き離されてしまうって、どういうことだい?」
「この眼鏡は、未来が3分間だけ見えるんですが、僕はマリと引き離されるシーンが見えたんです…!」
「未来が見える眼鏡ねぇ…。分かったよ。魔法でどうにかしてみよう。君たちの協力も必要だ。いいね?」
「もちろんです。」
「君たちの血を一滴ずついただくよ。」
「どんな魔法ですか?」
「未来を変えたいんだろう?」
「…はい。」
「だったら、私を信じることだよ。君たちの血をこの液体の中に入れて、宝石に変えるんだ。」
「宝石…ですか?」
「ああ。…ほら、この通り、宝石が出来ただろう?」
「…それがさっき取った血ですか?」
「そうさ。これをアクセサリーにしていくんだが、指輪、ネックレス、ブレスレットの中から、二人で選んでもらいたい。」
「…マリ、どうする?何がいい?」
「私は、ブレスレットがいいと思うわ。」
「マリがそう言うなら、ブレスレットにしよう。アシュレイ、ブレスレットでお願いします!」
「分かった。ではブレスレットにしよう。どのアクセサリーを選んでもそうなんだが、これは自分の意思で外すことは出来ない。」
「……。どのように使うのですか?」
「これは、宝石の部分に触れると、離れてしまった相手がどんな状況にあるか見ることが出来る。もう一度触れれば、その相手に自分の思いや考えを伝えることが出来る。」
「…距離とかは関係ありますか?」
「それは関係ない。あと、相手に危険が迫っている時には、ある呪文を唱えれば自分のいるところへ、一瞬で移動させることが出来る。」
「呪文…。その呪文とは?」
「ヌゥ アロン セルテンマン ヴゥ エデ.エヴィテ ル ダンジェ エ ベネ ア モワ!」
「…僕のバンドのデータに記録したよ。」
「私、覚えられるかしら…。」
「今の呪文を音声データで記録してあるから、帰ってから練習しよう。」
「そうね。」
「さあ、ブレスレットが出来たよ。こちらがルークスの分、こっちが君の分だ。」
「ありがとう、アシュレイ。」
「ああ、また何か困ったことがあればおいで。」
「その時はまたお願いします。」
そうして僕たちはエンチャンテッド・ミステカを後にした。