未来を3分間だけ見ることが出来る眼鏡を手に入れ、近い未来に起きる出来事が分かるようになった。しかし、今後の僕や、マリの運命はこれからどうなるのだろうか?もし、分かるのであれば見てみたい気もするし、怖い気もする。
「マリ、現実世界の君の家族、見てみるかい?」
「うん。見てみたい!今頃どうしてるかしら?」
「じゃあ見せてあげるよ。」
僕は鏡に手をかざし、現実世界を映し出した。そこからマリのお父さん、お母さんを探しだし、鏡に映すと
「…、お父さんだ!いつも通り仕事してるわね。…、こっちではお母さん!」
君は嬉しそうに指差しながら笑っていたね。
「時々、こうやって見せてあげらるから。」
「ありがとう!ルークス。」
僕は静かに、未来を見ることが出来る眼鏡を掛けた。
「そんな…!まさか!!!」
見えたのは、マリと引き離されるシーンだった。
「どうしたの?」
「早くになんとかしなければ…。」
「ルークス?」
「マリのことは、僕が守る。どんなことがあっても、必ず…。」
「信じているわ、ルークス。」
僕は危機が迫っているという不安と、早くにマリを現実世界に戻さなくては、という焦りでどうにかなりそうだった。そんな時、君は僕の手を握ってこう言ってくれたんだ。
「私、ルークスならきっと大丈夫だと信じてるわ。」
「マリ、ありがとう。どんなことが待ち構えていようとも、なんとか、未来を変えてみせるさ。」
「ええ。きっと…。」
国王の生誕パレードの前に、この眼鏡で見えたのは、3週間後の未来だった。ということは、もうあまり時間がない。急がなければならない。僕は思い悩んだ。
「これが、グレートマカトニア王国の地図だ。僕たちがいるのが、この辺り。」
僕は指で場所を指し示した。
「ここから、北へ移動して、エンチャンテッド・ミステカに行くよ。」
「そこへは何をしに行くの?」
「その村は、魔法が使える者たちが集まり、魔法について深く学んだり、訓練したり、研究しているところなんだ。」
「魔法…。魔法を使って何をするの?」
僕はかなり焦っていたようだ。一か八かのかけかもしれないが、魔法の力に頼ってみようと考えたのだ。
「マリ、まずはこの眼鏡で未来を見てみてほしい。」
「分かったわ。……!いやっ!嫌よ、ルークスと離ればなれになるなんて!!」
「その未来を変えるために、魔法の力を借りようと思ってね。」
「移動はどうするの?」
「高速移動バスがあるよ。そこからはシェルパがいて案内してくれるんだ。」
「行ったことがあるの?」
「僕がまだ幼い頃に、両親に連れられて、ね。」
「…そう。持って行かなきゃいけないもの、あるかしら?」
「マリはコンタクトレンズ、カプセル、歩き疲れるだろうから靴の変えもあった方がいいかな?」
「そうね。」
「僕はいつもの眼鏡と、父さんからもらった試作品の眼鏡、そして、カプセルと、地図…。よし!全部入れた。」
「出発はいつ?」
「僕の両親が眠りについてからがいいかな…。また、母さんに心配されるから。」
「そうだったわね…。」
「それまでまだ余裕があるから、少し身体を休めていよう。」
「そうね。…横になって休むわ。」
そう言うと、君は目を閉じて、眠りについたね。僕は不安が強く、とても眠れなかった。でも、可能性を信じたかったんだ。