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第3話 君だけのドレス

テレポートは無事成功し、僕たちは衣装屋の前に着いた。

「マリ、目を開けてもいいよ。」

「…着いたの?」

「テレポート、成功したよ。」

「わぁ、ドレスがいっぱい!好きなのを選んでいいの?」

「もちろんだよ。気に入ったのがなければ、自分好みのドレスをオーダーメイドすればいいから。」

「たくさんあるから、迷っちゃいそう…。時間かかりそうだけど、大丈夫?」

「現実世界では、一日24時間だっけ?僕だったら短すぎて足りないよ。」

「この国の時間はどうなっているの?」

「誰も時間なんて気にしていないよ。だから、誰もわからないんだ。この国には時計も存在しないんだ。」

「へぇ、そうなんだ。」

「だから、気の向くまま、ドレスを選ぶといいよ。僕はここで待ってるから。」

「ありがとう、ルークス。」

君はたくさんのドレスの中から、3着のドレスを気に入り、僕のところへ見せにきたね。

「ねぇ、ルークス。この3着の中から、1着なんて選べないわ。どのドレスが一番似合う?」

「だったら、3着とも頂こう。」

「え?いいの?」

「ああ、いいさ。」

「ありがとう!ルークス。」

「この衣装屋のドレスは全て一点ものなんだよ。君好みのドレスが見付かって良かったよ。」

「それって、高いんじゃないの?」

「大丈夫だよ。」

「それにしても、私、外に出ても大丈夫だったのかしら?」

「それなら心配ご無用!部屋を出る前に、マリのデータを書き換えて、僕のフィアンセってしたから。」

「そんなことまで出来るの?」

「ああ、僕が掛けてるこの眼鏡と、左腕に着けたバンドがあれば、ちゃちゃっと変更出来てしまうんだ。」

「へぇ…。驚くことばかりで、頭が追い付かないわ。」

「そのうち、慣れるさ。」

「…。慣れてしまったら、現実世界に戻りづらくなるよ。」

「その時がきたら、ここでの生活の記憶を全て抹消してから現実世界に君を戻すよ。」

「記憶を抹消って…。ルークスのことも、このドレスのことも、この王国のことも、全部忘れてしまうの?」

「そうなるな。」

「ならば、最初から全部夢だった、で終わるならいいのに…。」

「この王国の決まりだから、仕方ない。恐らく、僕の記憶も抹消されるだろう…。僕の仕出かしたことがおおやけになれば、僕の仕事も危ういかも知れないな…。」

「現実世界の観察員…だっけ?」

「そうだよ。」

「不思議に思ってたんだけど、現実世界の人口は約80億人もいるのよ?その中から、どうやって私を見付けたの?」

「いつも危なっかしくて、見ていられなかったんだ。僕が助けなきゃ、あのトラックに跳ねられていたんだぞ?」

「そうよね…。助けてくれてありがとう…。」

「どうにか、マリを現実世界に戻す方法探らないとな。」

「もし、方法が見付からなかったら、私は現実世界に存在しなかった、ってことになるの?」

「…。そうならないようにするから。…早く戻りたいか?」

「夢なら早く覚めて!って思ってるわ。」

「取り敢えず、方法が見付かるまでは、マリ、君は、この王国では僕のフィアンセだ。それだけは忘れないでいてほしい。」

「…わかったわ。…。あと、ルークス、靴はローファーのままでも大丈夫なの?」

「しまった!靴のことすっかり忘れていた!マリ、ヒールの高い靴は履けるかい?」

「パンプス程度なら履けるけど、ハイヒールはあんまり自信ないなぁ。」

「…そうか、ヒール低めなら、ええっと…。あっちの靴屋だ。」

「え?どこなの?」

「着いておいで。…はぐれたら大変だから、また手を繋ごうか?」

「…じゃあ、手、繋ぐわ。でもね、テレポート出来るんだったら、その方が早いと思うの。」

「確かにそうだけど、この国では、テレポートを頻回に行うと、国の監視員から目を付けられるんだ。」

「…だから、あんまり使わないのね。」

「ああ。…着いたよ。靴のサイズが合えばいいんだけど…。」

「探してみるわ。」

またまた、僕は靴屋の前で待たされることになった。

「ドレスの色やデザインから考えると、この靴と、あと、あの上の棚の一番端っこにある靴と、ええっと…。この靴もいいわね!」

「履き心地はどう?」

「今から試し履きしてみるわ!…、この靴は少し小さいかなぁ?きついような…。」

「気に入ったなら、同じデザインでオーダーメイドしてもらえばいいさ。」

「ありがとう、ルークス。オーダーメイドしたら、いつ頃出来るのかしら?」

「デザインは、能力が認められた者が行うけれど、作るのはロボットなんだよ。だから、早いよ。」

「…そうなんだね。」

「ほら、もうマリの靴が出来上がったみたいだよ。」

「え?もう?…本当だ!早速履いてもいい?」

「ああ、いいよ。」

「すごい!ぴったりよ。ありがとう、ルークス!」

「どういたしまして。」

君が早く現実世界に戻りたいと言ったから、僕は本当に焦ったよ。君をこの世界に招くことが出来たのは、偶然だったと思うし、現実世界に戻す方法なんて、僕は何も知らないのだから。
















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