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ep.3-6 Lumière 《光》

◇◆ Ron ◆◇


「……お父さん…」


いっぱい、いっぱい言いたいことはあったけど、声が震えてうまくしゃべれない。



……お父さんは、感情は分かりにくいけど、凄く優しいんだ



それは言葉の端々からも、行動からも、分かる



知らないことを知ることは怖いこともあるけれど話してくれて、嬉しかった。

ずっと、お父さんと、お父さんの約束に、僕は守られていたんだ



淡々としているけれど、緊張していたのが伝わった。



それだけ、僕を大事に、守ってきてくれてたんだね……

僕は、先生がお父さんでよかったと、心から思う。

たとえ血の繋がりがなかったとしても

僕の、とてもとても、大切な人



「……お父さん、ありがとう」



僕は涙を押し込もうと、顔をごしごしと拭いてから「もう大丈夫」を装った言葉を探す



「お父さんの……朝ごはん、冷めちゃった」

「大丈夫。もうお昼だからロンの分も作って一緒に食べようか」



そんな何気ない会話に、優しさを感じながら


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◇◆ Liam ◆◇


8年前

保護された当時の私は、赤子と離されてはいけないと、誰もいない早朝に赤子を連れて帰った。

赤子には、私の尊敬するケヴィン先生のモチーフとされる《ケイロン》様から名前を頂いて「ロン」と名付けた。

……私に自分の名前を思い出させてくれたのも、先生だった。



だが全身の傷で、毎日眠れないほどの激痛が私を襲った。

目を閉じると、激痛と共に3ヶ月の拷問の日々が思い起こされては魘され、私は眠るのが怖かった。

気絶したように眠っては、痛みとロンの泣き声で起きる……その繰り返し



神による拷問の跡は、一般の医療技術でも自分の特殊魔法でも、どうすることもできなかった。

この状況のまま、この子を育てていけるのか絶望に近い不安が過ぎった……

だが、やらなくては……ロンの特殊魔法が発動したのはその時だった。


まだ新生児だったはずなのに、ロンは私の傷を全て癒した。それが、『toutすべてを guérir癒す魔法』……ロンの特殊魔法だ。まさに、奇跡だった。何をしても、治せなかった傷……



私の全ての傷が癒えると、ロンは笑ったように見えた。……「新生児微笑」と呼ばれるものかもしれないが、これは、素直にこの子の優しさなのだと感じた。



……気がついたら、涙が私の頬を伝っていた

感情など、死んだはずだったのに



ずっと、どこにいても孤独だった私へのこの子の無償の愛が、たまらなく、温かかった。

この時のことを忘れはしない



私はこの子を一生かけて育て、守り抜くと堅く誓った



"Ave Maria"

この子に、光を。

私の生きる希望で、何よりも大切なもの




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