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マリア様、マリア様、Ave Maria
僕を、この小さな世界を、お救いください
―ロン
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◇◆
アヴェ・マリア 恵みに満ちた方
主は貴方のお導きの元で祝福されています
神の
わたしたちのために、
今も、死を迎える時も、お祈りください。
アーメン。
ここは街で1番大きな大聖堂。
ロマネスク様式と初期ゴシック建築が混ざりあったような、歴史ある建物……だった。
8年前の大災害の時にここも一度半壊している。
だけど、アンリさんが特殊魔法『
本当に、災害前の形がそのまま再現されている。
8年前に半壊したことなんて、今では全然わからないくらいに。
……そんな大聖堂で毎日祈りを捧げるのが、俺の日課。
エリックがいなくなってから3ヶ月が経つ。
その間に夏休みは終わり、俺たちは3年生になっていた。
そんな、秋。
学校の奴らも、そんなエリック不在に少しずつ慣れてきたように見える。
ロンは……ずっと元気がない。
エリックがいなくなったのが堪えているのか、それとも《検査》がつらいのか
その両方かもしれない。
俺とロンは、エリックとは1番仲が良かったから
それでも定期的に《検査》に向かうあいつは、目からは光が消えたようにぼーっとして元気がなく、どことなく恐怖の色が滲み出ている
話しかければいつもと変わらないように振る舞うが、
明らかに無理しているのが分かる。
あいつが心から思い切り笑った姿を最後に見たのはいつだったかな…
人を救うって、なんなんだろう。