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ep.1-11 ◇ Dernière lettre 《最後の手紙》

◇◆ Eric ◆◇


僕が見たのは兄さんからの "手紙" 。それも、もう過去でしか見られない。


僕は、最初に過去に回帰したときに見つけた、"最初の手紙" を見たときから、その手紙の最後には必ず別の日付と時間が書き記してあった。

そしてその手紙は、僕が読んだ直後と思われる過去の時間には何らかの方法で破棄されていたことが分かった。

現在の同じ場所には、それらしいものが全く残っていない。


計20回。僕が "最初の手紙" から、この、"最後の手紙" にたどり着くまでに過去へ回帰した回数だ。

僕が特殊魔法を1日に3回しか使えないことを兄さんだって知っていたはずだから、これはわざと日にちをかけさせたのだと思う。


だけど、その手紙のほとんどが、どれだけ非魔術師達との生活が楽しかったかということが書かれていた。

なんで……あんなに、非魔術師に嫌なことされてきたじゃないか……兄さんは、学校から帰ると時々悲しそうな顔をしていた。


最後の手紙は……この手紙だけは、現在も同じ場所にある。

ここ、兄さんの机の引き出しの中だ。前回の手紙の最後に書かれた時間が、"今" の時間とちょうど合致する。

そして手紙に書かれた内容は


『冥界には絶対に行ってはいけない。エリック、絶対にだ。

 非魔術師とも仲良くしろよ。 愛している。 フレデリック』


と、たったのこれだけだった。

今までずっと書かれていた、次の時間指定がない。


なんだよこれ……

唐突で率直な兄の言葉に胸が痛くなった。


先生の、言ったとおりだったのかもしれない…兄は、僕に伝えたいことがたくさんあったんだ。

兄さんは、未来が視える。

だけどそれは『』と兄さんは言った。


……兄さんは、未来で何かを知ってしまったのかもしれない。だから天に召されたの……?……なんで……


だけど《冥界》って……


ふと窓の方を見るとカーテンが開けっ放しだった。

気づいたら、もうとっくに日が落ちていた。

暗い窓に映った自分が、一瞬、兄さんに見えた


兄さん……

兄さんに、会いたい


カーテンを閉めながらその時の僕は、ひとつの悪い想像に囚われて、離れない。


……


僕は明日、いつも《検査》を行っている《共同魔法研究所》へ行くことを決意した。

あそこにはきっと……何か、ある気がするんだ


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