桜桃
異世界ファンタジー冒険・バトル
2024年12月30日
公開日
861字
連載中
特に何も取り柄がない学生、牧野優夏。友人である相良靖弥《あらいせいや》と下校途中、軽トラックと衝突し死亡。次に目を覚ました時、狩衣姿の、傷で全く動くことが出来ない少年の体に入っていた。その少年の名前は"安倍闇命"。
目を覚ました直後、優夏は陰陽寮の陰陽頭に修行という名前の、化け物封印を命じられる。何もわからないまま連れていかれ、水の化け物”水人”と戦わされた。
逃げ回り、何とかできないか考えるも、知識も何もないため抗う事が出来ず水人に捕まる。死が頭を掠めた時、下の方から少年の声が聞こえ、生意気な口調で命令された。イラつきながらも言われた通りにした結果、無事に危機は脱する。
『どう? 僕の体、使いやすいでしょ?』
闇命は毒舌でくそ生意気な少年。普段は体を貸している優夏の肩に鼠姿で寛いでいる。そのため、言動や行動に気を付けなければ噛まれてしまい、優夏はいつも苦笑いを浮かべながら行動していた。
そんな闇命には”短命”の呪いがかけられている。闇命の従者達も本人が諦めている為何も言えず、生きている限り添い遂げる事を決意していた。
生きている時は都合よく扱い、いう事を聞かなければ罰を与える。短命について何もしようとしない周りに、優夏はこの世界に絶望。それと同時に、闇命の本心などに触れ、周りの言動や行動に怒りが芽生え、この世界に革命を起こす事を決意。
そんな中、裏で大きな事態が引き起こされていた。安倍晴明の子孫である闇命の命を狙い、叩き潰そうと企んでる人物、蘆屋道満。従者として一人の青年がいいように利用され、意思とは関係なく刀を振るっていた。その人物は、優夏にとってかけがえのない人物。
世界への革命、自身を狙う人物、呪い。様々な困難が優夏に降り注ぐ中、従者や他の陰陽師達に声をかけ力を借り、一つずつ解決していく、冒険アリの和風異世界ファンタジー!
出会いの章でこの物語は大きく動き出す。大事な人が自身を殺そうとしてきたら、どのような気持ちになりますか?
第1話 恩を返したい
青空が広がる景色がどんどん白く染まっていく。息がしにくい、体中が痛い。
そんな中で耳に入るのは、ごちゃごちゃとした騒音。
────何が起きたんだ?
体が動かない、頭も回らない。
薄らぐ視界に入るのは横転している軽トラ、沢山の人、地面に転がっている鉄パイプ。
そして、赤く染まる地面。
あぁ、そうだ。友人である靖弥と下校途中に軽トラが突っ込んできたんだっけ。
俺は軽トラに当たったらしい。靖弥は大丈夫だったのか?
鉄パイプが、所々赤い。
あ、あれは、鉄パイプが転がっている近くに、靖弥が倒れてる? もしかして、鉄パイプが靖弥に直撃したのか?
────あぁ、そうだ。
後ろからクラクションが聞こえたんだ。
振り向いた時にはもう遅かった。
目の前まで鉄パイプが積まれていた軽トラックが迫ってきていて、避けられないと瞬時に悟った。
瞬間、体が勝手に動き隣にいた靖弥を押したんだったよな。なのに、なんで靖弥まで倒れ込んでいるんだよ。
駄目だ、視界が歪む。
俺は、このまま死ぬのか? 何もできないまま、死んじまうのか?
横目に映るのは靖弥の姿、手を伸ばしたくても指一本動かす事が出来ない。
今まで、学校生活ではたくさん助けてもらったというのに、俺は何もできないまま終わるのか。
地獄だった学校生活を送れていたのは、靖弥が居たからだと言うのに。
いじめの対象にされた時や、一人でいる時とか。必ず靖弥は一番に気づいて、声をかけてくれた。
そのおかげで俺にはいじめによるトラウマはない。必ず、靖弥が俺と一緒に居てくれたから。
いや、嫌だ。せめて、せめて靖弥だけでも助けてよ。恩を、返させてよ、お願いだから――………
【……──ふーん。そんな事を死ぬ直前まで考えるんだ。面白い人を発見したよ】
んっ、な、なに? 頭の中にいきなり子供の声? は? な、何この声。誰?
【仕方がないから、僕の体を一時的に貸してあげる。感謝してよね、凡人】
いや、なにこれ。誰に感謝しろと。
【それじゃ、僕の体を大事にしてよね。転生先で待ってるよ】
いや、さっきから何。いきなりな展開で着いていけない。あぁ、だめだ、意識が──……