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桃太郎
ぼんげ
文芸・その他童話
2024年12月29日
公開日
2,607字
完結
人気脚本家Polly Collettが手がけた感動の最新作

桃太郎

 むかしむかし、あるところに、40代くらいのご夫婦が住んでいました。


 夫はコインランドリーへ洗濯に、管理職の妻は会社へ行きました。


 妻が会社で打ち合わせをしていると、取引先から大きな無農薬の桃が贈られてきました。


「おや、これは良いおみやげになるわ」


 妻は大きな桃を、家に持ち帰りました。


 そして、夫と妻は桃を切って食べました。


 その後、なんやかんやあってご夫婦は子宝に恵まれました。


 こうして生まれた女の子を、ご夫婦はメアリーと名付けました。


 メアリーはスクスク育って、やがて強い女の子になりました。


 そしてある日、メアリーが言いました。


「私、町の体育館に行って、バスケ大会で優勝します」


 そして、夫にお弁当を作ってもらうと、体育館に出かけました。


 体育館へ向かう途中で、黒人女性のジェニファーと出会いました。


「メアリーさん、どこへ行くのですか?」


「体育館へ、バスケ大会に行くんだ」


「それでは、こちらの料金で契約書にサインを下さいな。選手として契約しますよ」


 ジェニファーは契約書にサインをもらい、メアリーのチームメイトになりました。


 そしてこんどは、個性の素敵な女性のエマに出会いました。


「メアリーさん、どこへ行くのですか?」


「体育館へ、バスケ大会に行くんだ」


「それでは、こちらの料金で契約書にサインを下さいな。選手として契約しますよ」


 そしてこんどは、トランスジェンダーで姓自認は女性のボブに出会いました。


「メアリーさん、どこへ行くのですか?」


「体育館へ、バスケ大会に行くんだ」


「それでは、こちらの料金で契約書にサインを下さいな。選手として契約しますよ」


 こうして、ジェニファー、エマ、ボブのかけがえのないチームメイトを手に入れたメアリーは、ついに体育館へやってきました。


 体育館では、対戦相手の方々が家から持ってきたボールを並べて、練習の真っ最中です。


「みんな。油断せずに行こう」


 ジェニファーはスリーポイントを正確に決め、エマはドリブルで相手を翻弄し、ボブは華麗にダンクシュートを決めました。


 そしてメアリーも、監督として皆を鼓舞しました。


 とうとう審判員さんが、


「試合終了」


と、手を挙げて宣言しました。


 メアリーたちは惜しくも敗れてしまいましたが、かけがえのない宝物を手にして、元気よく家に帰りました。


 ご夫婦は、メアリーの清々しい姿を見て大喜びです。


 そして三人は、宝物のおかげでしあわせにくらしましたとさ。



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