むかしむかし、あるところに、40代くらいのご夫婦が住んでいました。
夫はコインランドリーへ洗濯に、管理職の妻は会社へ行きました。
妻が会社で打ち合わせをしていると、取引先から大きな無農薬の桃が贈られてきました。
「おや、これは良いおみやげになるわ」
妻は大きな桃を、家に持ち帰りました。
そして、夫と妻は桃を切って食べました。
その後、なんやかんやあってご夫婦は子宝に恵まれました。
こうして生まれた女の子を、ご夫婦はメアリーと名付けました。
メアリーはスクスク育って、やがて強い女の子になりました。
そしてある日、メアリーが言いました。
「私、町の体育館に行って、バスケ大会で優勝します」
そして、夫にお弁当を作ってもらうと、体育館に出かけました。
体育館へ向かう途中で、黒人女性のジェニファーと出会いました。
「メアリーさん、どこへ行くのですか?」
「体育館へ、バスケ大会に行くんだ」
「それでは、こちらの料金で契約書にサインを下さいな。選手として契約しますよ」
ジェニファーは契約書にサインをもらい、メアリーのチームメイトになりました。
そしてこんどは、個性の素敵な女性のエマに出会いました。
「メアリーさん、どこへ行くのですか?」
「体育館へ、バスケ大会に行くんだ」
「それでは、こちらの料金で契約書にサインを下さいな。選手として契約しますよ」
そしてこんどは、トランスジェンダーで姓自認は女性のボブに出会いました。
「メアリーさん、どこへ行くのですか?」
「体育館へ、バスケ大会に行くんだ」
「それでは、こちらの料金で契約書にサインを下さいな。選手として契約しますよ」
こうして、ジェニファー、エマ、ボブのかけがえのないチームメイトを手に入れたメアリーは、ついに体育館へやってきました。
体育館では、対戦相手の方々が家から持ってきたボールを並べて、練習の真っ最中です。
「みんな。油断せずに行こう」
ジェニファーはスリーポイントを正確に決め、エマはドリブルで相手を翻弄し、ボブは華麗にダンクシュートを決めました。
そしてメアリーも、監督として皆を鼓舞しました。
とうとう審判員さんが、
「試合終了」
と、手を挙げて宣言しました。
メアリーたちは惜しくも敗れてしまいましたが、かけがえのない宝物を手にして、元気よく家に帰りました。
ご夫婦は、メアリーの清々しい姿を見て大喜びです。
そして三人は、宝物のおかげでしあわせにくらしましたとさ。