ー 1941年 11月25日 択捉島・単冠湾 ー
霧でうっすらと視界が遮られている中、大日本帝国海軍の艦艇が多数停泊していた。
旗艦となる空母『赤城』の他に『加賀』、『飛龍』、『蒼龍』の空母を中心として、護衛艦である戦艦・巡洋艦・駆逐艦・燃料補給の為の高速給油艦(タンカー)が多数停泊している。
乗組員達はこれから自分達が挑む作戦を前に士気も高まっていた。
だが、旗艦である空母『赤城』の艦橋で第一航空艦隊司令長官を務める南雲忠一(なぐも ちゅういち)中将は、周りの将兵達とは逆に不機嫌であった・・・。
そんな南雲に参謀長の草鹿龍之介(くさか りゅうのすけ)少将が声をかけた。
「長官、何故そんなに不機嫌なんですか?」
それに対して南雲は不機嫌さを隠さずに答えた。
「与えられた空母が4隻だけだからだっ!!本来ならば、参加する筈だった最新鋭の2隻の空母が第二航空艦隊に回されてしまい、4隻の空母だけで今回の作戦を命じられているのだからなっ!!」
草鹿は、呆れながらも答えた。
「仕方ないですよ。今作戦での真珠湾攻撃は所謂、二正面作戦ですから・・・。」
しかし、南雲は不機嫌なままで更に不満を口にした。
「あの若造に口出しされた上に、予定していた2隻の新型空母を横取りされたんだぞ!!」
南雲の不満(むしろ愚痴)を聞いて、草鹿も苦笑いしながらも納得した。
(長官の気持ちも分かるけど、あの『若大将』の指摘と図上演習を見せられたら、納得するしかないよな・・・。)
しかし、南雲や草鹿は知らなかった。
これから件の『若大将』と後に国内外から畏怖される『蒼天の艦隊』が成し遂げた戦果から、全世界の海軍関係者達に衝撃と影響を嫌というほど思い知る事になるのを・・・。
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今夜の21時に、第1話を投稿します。