ふてくされた(?)ミラの肩に手を乗せる俺。こういうときはとにかく
「ミラは俺にとっての奥の手だからな!」
「奥の手?」
「おうよ! ミラは凄い魔術師なんだろ!?」
「うん。『銀髪持ち』だから」
「やっぱりな! その銀髪! 膨大な魔力! 初めて見たときから只者じゃ無いと思っていたんだ! いざというときは期待しているぜ!」
「…………。……ん、分かった」
ちょっと頬を染めながら、満足そうに頷いてくれるミラだった。何とか機嫌を直してくれたみたいだ。良かった良かった。
と、俺がホッとしていると、
「……アーク君、ああして色んな女性にいい顔をしているんだろうねぇ」
「そういえば、『悪人顔の近衛騎士は女殺しだから気をつけろ』という噂がありましたが、あれはもしかしてアーク様のこと……?」
ちょっとシャルロットにメイス、小声でとんでもないことを呟くのはやめてもらえるか? というか俺を悪人顔と思っていたのかメイスよ……。
いやまぁ自分でも認めるしかない悪人顔なんだけどな? 初対面の女子からは怖がられるんだけどな? 改めて言われるとそこそこ傷つく俺だった。
まぁいいや。
まずは庭にある井戸へと移動してメイスに『鑑定』してもらう。
「……たしかに汚染されていますね。ここでは原因までは分かりませんが……どうやら水源である湖が汚染されているみたいですね」
メイスが北の方に視線をやる。ここからは何も見えないが、たぶん湖があるのだろう。
てっきり地下水をくみ上げていると思っていたんだが、湖から地下水道を引いているのだろうか? いやさすがにそれでは大規模すぎるから、ただ単に地下空間に湖の水が流れ込んでいるだけか?
「じゃあ村長あたりに湖の場所を聞いて、行ってみるか」
原因が分かれば原因を取り除けばいいし。もし分からなくても、井戸で
よしそれじゃあ村長を呼んでくるかと踵を返したところ、また服の裾を掴まれた。
「お? ミラ、どうしたよ?」
「場所、分かった」
「おお? そうなのか? ……あぁ、探知魔法ってヤツか? 生き物とかならともかく、湖まで分かるなんて凄いじゃないか!」
「ん。私、凄い魔法使い。頼ってくれていい」
満足げに頷いたミラが右手で俺の左手を握った。そして空いた左手で、シャルロットの右手を握る。
なんだかよく分からないが、シャルロット、メイス、エリザベス嬢、ラック、そして俺という順番で、円を描くように手を繋いでいく。お? なんだなんだお遊びか?
繋ぎ合った手によって自然と丸い輪となったところで――ミラが、呪文を詠唱し始めた。
「――我が行く道に迷いなし。我が征く道に憂いなし。地平の果てに夢を見て、今ここに奇跡の御業を再現せん」
途端に顔を真っ青にするシャルロット。
「それは、
「――