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第14話 おもしれー男たち・1


 シャルロットたちが恋の話や何やらで盛り上がる中。


 アークとラックも少し離れた部屋のベッドで休んでいた。

 別のベッドを使わず、わざわざ二段ベッドの上下に分かれているところを見るに、この『イベント』を楽しんでいるようだ。


 ここで模範的な騎士であれば寝ずの番をしてエリザベスたちを守るのだろうが……。アークも、ラックも、そこまで真面目な騎士ではない。そして休息の重要性も理解していた。


 近衛騎士団長の接近にすら気づけるアークの『気配察知』があれば、不審者がやって来ようとも事前に排除できる。そう判断したからこそのベッド上での休息だった。


「しっかし、ラックがあんな紳士だとは思わなかったぜ」


 二段ベッドの上から、下にいるラックをからかうアーク。

 だが、もはや一種の無敵状態であるラックは怯まない。


「仕方ないだろう? 俺はな、エリザベス様を守れるような男になりたくて騎士になったんだ」


「ひゅう」


 素面シラフでのセリフにこっちが恥ずかしくなるアーク。

 そんな彼にラックが追撃を仕掛ける。


「そういうお前こそ、あの三人とずいぶん仲がいいみたいじゃないか?」


「あん? そうか? ま、仕方ないんじゃないか? どっかのバカがエリザベス嬢にばかり構っているから、頼れるのが俺しかいないんだろう」


「ぐっ、それに関しては正直すまなかったと思うが……。いやしかし、俺がしゃしゃり出るよりお前が対応した方がいいだろう。お前は女性の取り扱いが上手いからな」


「おいおい、人を女たらしみたいに言うんじゃねぇよ」


「おいおい、自覚なしか?」


「どういうことだよ?」


「今思いつくだけでも騎士団長や、王女殿下、そして侍女長……。色んな女性から想いを寄せられていたじゃないか」


「お前の目は節穴か?」


「お前が鈍感すぎるだけだ」


「どこをどう見たらそうなるんだよ?」


「どこをどう見てもそうとしか思えないんだ」


「ったく……」


 アークとしては噴飯ものだ。騎士団長は直接の上司なんだから親しくするのは当たり前だし、王女殿下は近衛騎士として護衛任務に就くことが多いだけ。そしてその関連で侍女長とやり取りしているだけじゃないか、と。


(やっぱりあれか。今まで自分の恋路が上手く行ってなかったから、男と女が喋っているだけで恋愛感情を抱いているように見えてしまったんだな)


 可哀想なヤツだと心底同情しながら、アークは眠りにつくことにした。


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