四十万さんとは現地集合になり、新幹線に乗り込む、当たり前だが俺は有名人。
サングラスに帽子は普通、だが溢れ出る濃密な気配は消すことができず、新幹線の中はどよめきが聞こえた。
まぁそんなのは無視して
桐島プロデューサーのメッセージを読む。
『はーい、久しぶりね♡ 明日?今日かしら京都で撮影することになったからお肌の手入れよろしくね、詳細は以下よ♡
詳細
・土日限定
・ヌードモデル
・京都ボーイ雑誌の子と直哉くんがエロエロに撮影しちゃうからね
追伸:新幹線で女の子に手出しちゃダメよ』
はぁー相変わらずのキモさ。
そして♡多いし……新幹線で読むべきじゃなかった。
最後の追伸、なんだこれ、俺の嫁はただ一人唯斗だけだよ。
桐島プロデューサーには打ち明けていない。というよりも有名人とデキているなんて報道されれば唯斗の身にもなにか起こるし、俺も嫌だし……。
バレないようにしないと。
だいたい詳細の京都ボーイと撮影って意味が…エロエロって……。
相変わらずの悪趣味だ。
京都駅に着くと四十万さんが待っていた。
「こっち」
と大きく手を振るので周りの人が見る。
ロケバスに乗り込み、現場に着くと
さっそく服を脱がされ撮影に入る。
前半は京都ボーイがバスローブを身にまといその様子を見ているといかにもゲイの撮影現場か?
と思ってしまった。
前回も桐島プロデューサーの撮影はギリギリの見えないラインで撮影され、その雑誌の売り上げは年1を更新した。
俺の裸見て萌えるのか……。
と吞気に考えていると順番が回ってきた。
「はーい、じゃ今日東京から遥々来てくれた、由井浜直哉くんに挨拶」
と桐島プロデューサーがいうと
「お願いします」
と返ってきた。
さてと仕事しますか
本当にギリギリのラインを撮影される。
「んじゃ次お尻ね」
後ろを向き、息子が見えないように手に持つ。
パシャパシャとシャッター音が響き、撮影が終わると。
「じゃ京都ボーイ数人入って」
ベッドの上でポーズをしている、これはなんだ?
「詳細にも書いたと思うけど今回はエロエロなシーン撮るからね」
「二海ふたみくんに覆いかぶさって」
は?
それってつまりこういうこと?
「そそ、いい感じ」
まるで二海を襲っているようなシーンを撮らされる。
これ唯斗にバレたら嫉妬されそう。
「もっと覆いかぶさっていいよ」
とか
「東雲くん四つん這いになって、そ、挿入してる感じに」
「もっと腰もって」
とか
「次、大木おおぎくん立ちバックで」
とか
どうしよ、イライラしてきた。
休憩が入ってバスローブを纏う。
「ごめんね、まさかここまでとは……」
「四十万さん知ってたんですか?」
「いや、ヌードモデルってことしか言われてなかったんだけどさ、なんか京都ボーイの子達がゲイボーイでもあるらしくて、それに目を付けた桐島プロデューサーがコラボしちゃおうかってなってこうなりました」
「これ撮影とかないですよね? さすがに無理ですけど」
「それはないと思うよ、あそこにAV男性控えてるみたいだし」
「じゃこの後あの二人撮影されるんですか?」
「そうだと思うよ、見ていく?」