『唯斗の世話を2日ほどしてほしい』
『それは、先輩がいないってことですか?』
『あぁ、撮影で急遽京都に行くことになった』
『で……あっもしかして唯斗のこと壊したんですね』
『……壊したっていうのは語弊がある』
『まぁ似たようなものですね、大切にしてくださいよ、いちを俺の宝物なんで』
『……それは俺も同じだから』
『いいですよ、朝何時に向かえばいいですか?』
『8時に来てほしい』
『俺、仕事があるのでこちらで預かってもいいですか?』
『……分かった、そしたら8時半にお前の家に送り届ける』
『それは助かります、なんせ寝てないんで、事故ったら大変なので!!』
『お前、学生時代と変わらないな』
『あなたよりは忙しくないですよ』
大宮司にお願いし、
朝、家に届けた。
相変わらず唯斗はまだ起きない。
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「先輩には困ったものだ、こんな可愛い寝顔の愛しい唯斗を俺の家に置いていくなんて、襲わないなんて我慢できるか……」
紙袋に入っている軟膏……これは尻に塗れと、俺が付き合ってたら絶対に嫌だけどな、意地悪なのか??
いやがらせなのか??
考えていると、
「あれ? 蒼維?」
目をこすりながら小鳥が起きた。
「おはよう、体起こせる?」
「え?」
意識していなかったのか
身を裂くような痛みが全身を駆け抜けた。
「ひゃっなに……」
案の定、腰に力が入らなさそうだ。
「ま……まさか蒼維が??」
おい、とんだ勘違い野郎だな!!
「唯斗くん、君昨日のことを思い出してみろ」
と少し怒りめでいうと
「えっあっだって、昨日蒼維とレゴーン行って、ご飯食べてそれから……」
となにも喋らなくなるとぶわっと顔が赤くなった。
布団を被り、恥ずかしそうに
「直哉と……した」
その報告はいらない、分かってることだから。
でも布団に被るとかなに、これ拷問なの??
俺はやはり先輩に拷問を受けているのか!!!!
「あれ? 直哉は?」
「なにも聞いていないのか?」
「聞いてない……もしかして仕事?」
「そう、夜中の3時に連絡来て、しかも電話!! 唯斗をめちゃくちゃにしたから土日面倒見てほしいって、で先輩は京都に撮影しに行ったよ」
「そうなんだ……」
気を落としている唯斗を見る。
「なにか予定でも立てていたのか?」
「あ、うん駅前に出来たパンケーキを食べに行こうって……でも俺こんな体だし結局自宅でゴロゴロしてたと思うな」
「パンケーキ、俺の家のパティシエを呼んでくるよ」
「え!? いいの?」
「それで唯斗の気が済むならな」
にかっと笑い、いつもの蒼維に戻ってきた。