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ゼミの先輩

なんだろ、不思議な感じ、ずっと蒼維と一緒にいたのにこの温もりは……


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大学時代の卒業するゼミの先輩たちと打ち上げにいった。


俺がいたゼミは生徒数が多く、知り合いの先輩なんて1.2人いるくらいだった。


打ち上げは全員参加といわれ、第1部と第2部に別れた。

蒼維も同じ学部だが、家の事情で出席しなかった。


俺はゼミの友人たちと喋り楽しくその場を過ごしていた。


「てか第2部だけ、女子多くね?」


「たしかに」

あたりを見回すとほとんどが女の子たちだった。



「そりゃ、ゼミの王子様がいるからだろ」


「王子様?」


「なんだ唯斗知らないのか?」

「知らない」


友人にあっちと言われ、指さす方向を見ると確かに女の子たちがイケメンに群がっていた。


「あれが王子様?」


「そう、由井浜直哉先輩、顔小さいし、モデルだよな、何頭身あるんだよ」

「何社からかモデルの仕事に誘いがあったんだろ?」



「そんなこと女子たちが騒いでたな」


「いいな、お持ち帰りし放題だな」

「お持ち帰りって……」



苦笑いをし、

「ちょっとトイレ行ってくる」

「おう、気をつけてな」


まだ酔ってない、大丈夫

蒼維に飲みすぎないようにと強く言われていたのでまだセーブできてる。


用を足し戻ろうとした、曲がり角で背の高い人とぶつかってしまった。

「あっ、ごめんなさい」


ふらつき、よろめき倒れそうになるところを支えられた。


「大丈夫?」

と優しく上から声が


顔をあげると「王子?」

「ん?」


と首を傾げていた。

慌てて、口をとじ間合いを取るが腰を引かれ

「君、かわいいね」

と一言言われ解放された。


な……なんだ? 男にかわいいねって……


後ろから女の子たちが付いてきていた、もしかしてここでヤルのか!!?


唾を飲み込み、友人たちの元に戻った。



何事もないように酒がすすみ、数時間がたち、お開きの時間に

「あーあ、唯斗潰れてるじゃん……」

「え? 本当だ、今日は大宮司いないし、どうする?」


「じゃんけんするか?」


「置いて帰るか」

「それは人としてヤバイ」

と笑っていると


「それ、送ろうか?」

と言ってきた。


振り返ると由井浜直哉先輩が!!!

緊張が走り、慌てる


「え!? いや、そんな、先輩のお手間をとらせるわけにはいきませんので、大丈夫です」

と答えるとひょいと持ち上げ唯斗は拉致された。


「どーする?」

「先輩がいいって言ってるんだからいんじゃないの」


「じゃお願いします」


「任せて」

怪しい笑顔で見送った。


「そういえば、先輩のお持ち帰りってもしかして唯斗??」

「え? 男もありなのか?」


「イケメン恐ろしい」

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