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強い執着

レゴーンに着くと個室に案内され、食事を始める。


フランス料理が提供された。


「どうした?」



「別に」

ぼーっと食事をしていたら蒼維が気にかけてくれた。

蒼維の洞察力はすごい、俺が直哉と付き合いだしたのも瞬時に分かり……、蒼維が体を重ねたのもその時だった。


-------------

大学の帰り道いつも通りに蒼維の家に訪れるとベッドの上に押し倒され


「あっちょっ蒼維!?」


「だまって」

と静かな声で俺の口を抑えた。



「許さない…」


と蒼維の強い怒りを感じた。


そのあとは無理やりに蒼維と体を重ね、激しく強い思いが俺の中で脈打っていた。

「あっあっいった……」


「先輩とヤッタんでしょ?」

四つん這いで腕を引かれ耳元でそう呟く蒼維は静かで、でも恐ろしいほどに怖さを感じた。


「んっ……なん……で知って」


「唯斗のこと、なんでも分かっちゃうんだよね」

首筋を舐められゾクゾクと体が身震いし、気持ちよくイってしまった。


それからの蒼維はどこか遠くに感じ、蒼維から近づいてくることはなかった。

でも長く一緒にいたせいか蒼維がいないと不安になり、俺は伝えた。


「蒼維、俺友人としてならずっと一緒にいたい」

と蒼維は目を見開き、こちらに近づき。


「俺も」

と優しく答えた。

------------------


「ねぇ、今回のリゾート建設計画楽しみだね」


「そのことなんだけど、俺の会社を選んだのも俺がいたから?」

「まぁ、そうだね」


「…」


「ごめん、俺唯斗と仕事するの楽しみだったから、つい」


蒼維が嘘つきじゃないことは俺が1番知ってる。


「俺も蒼維と仕事できるのは嬉しいけど、なんだか新入社員が図々しいかなって思っただけだから」


「普通はそうだよね…」


「始まったことはしょうがないから悔いの残らないように頑張る!」


「うん」

と優しい蒼維の笑顔が目に焼き付いた後の記憶がなかった。



………………


『お久しぶりです、直哉先輩、唯斗を預かってます。返してほしければレゴーンまで』


と直哉先輩に送った。


………………

パシャパシャ

カメラのシャッター音が響き渡る中

スマホを確認した瞬間、建物が揺れた。


「なんだ? 地震か」

とざわざわと撮影現場がどよめいた。


「でも下から揺れと言うよりは…」

ちらっと後ろを見るとメラメラと怒りに溢れた由比浜直哉が壁に拳をぶつけていた。


「ムカつく」


「どうした?」

とマネージャーの四十万しじまが声をかけた。


ずいっとスマホを見せられ

あらまぁという表情に変わる。


「迎えに行くのか?」


「あたりまえ!」


ディレクターに

「俺の撮影先にしてもらってもいいですか?」


「いや、順番が…」


「あの、聞こえませんでしたか? 先にしてください」

と顔は笑顔だが全身の血が引くような感覚に襲われディレクターは

「はひっ」

と一声上げ撮影が始まった。


全員の視線を集め、モデルとしての仕事を淡々にこなし、急いで車に乗り唯斗の元に駆けつけた。

………………

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