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第10話:深夜に招待ってなんですか?

 ――時刻は深夜0時過ぎ。

 霧島晴人は自室の小さなベッドに横になり、静かに目を閉じていた。

 街の喧騒も遠く、部屋にはわずかな機械音と静寂だけが漂っている。

 しかし、その静けさを破るかのように、スマホが小さく震えた。

 ――ピロン♪

「……ん?」

 霧島はうっすらと目を開け、手元のスマホを手に取る。

「こんな時間に……なんですか?」

 画面には「LINE通知:甘坂るる」と表示されている。そして、その下には妙な文言が――。

『○○パズル!招待が届きました!一緒に遊びませんか?』

「……パズルゲーム?」

 霧島は少し眉をひそめ、画面を見つめる。

「深夜にゲームの招待って、どういうことですか……。」

 呆れたように独り言を言いながら、少しだけため息をつく。しかし通知が気になってしまい、ついLINEを開く。

 ――すると、すぐにメッセージが飛んできた。

 甘坂るる:『晴人くん、起きてる?』

 霧島晴人:『……起きてますけど、何ですかこれ。』

 甘坂るる:『今ハマってるゲーム! 一緒にやろうよ♪』

「……ハマってるゲーム?」

 霧島は少しだけスマホを見つめ、画面に映るポップなパズルゲームのアイコンをタップする。

 ――ダウンロード画面が表示される。

「……本当にこれを今やるんですか……。」

 半ば呆れながらも、ダウンロードを始める霧島。再びLINEの通知が飛んできた。

 甘坂るる:『ねね、ちゃんとインストールしてる?』

 霧島晴人:『……しています。』

 甘坂るる:『やったー! じゃあ始めたら教えて♪』

「はあ……。」

 霧島は少しだけ苦笑しながら、ベッドから起き上がる。そして煙草の箱を手に取ると、窓を開けてベランダへ向かった。

 ――冬の夜ふけの冷たい空気が自然と身体を震わせる。

「……なんでこんな時間に……。」

 そう呟きながらスマホを片手に操作し、画面を見つめる。そこでLINEが再び通知を送る。

 甘坂るる:『今、煙草吸いながらパズルやってるよー! 晴人くんもでしょ?』

 霧島は少し笑って、淡々と返事を打つ。

 霧島晴人:『……まあ、今、そうですね。』

 甘坂るる:『いいでしょ? 深夜の一服しながらパズル、最高だから!』

「……なるほど。」

 霧島は一口煙を吸い込み、吐き出しながらパズルゲームを始めた。

 ――ピロン♪

 甘坂るる:『ね、今どこまで進んだ?』

 霧島晴人:『チュートリアルが終わったところです。』

 甘坂るる:『じゃあさ、次のステージ一緒にやろうよ! スコア競争ね!』

「……競争ですか。」

 霧島は少し苦笑しながらも、そのままゲームを進めていく。

 ――数分後。

 甘坂るる:『待って待って! なんでそんなに早いの!?』

 霧島晴人:『別に普通にやっているだけですが。』

 甘坂るる:『絶対それ普通じゃない! 絶対うまい!』

「……どうなんでしょう。」

 霧島は画面に集中しながら、淡々とパズルを揃え続ける。静かな夜の中、スマホの通知音だけがやたらと賑やかに響く。

 ――30分後。

 甘坂るる:『くやしい……なんで勝てないの!?』

 霧島晴人:『運が良かっただけでは?』

 甘坂るる:『絶対違う! 晴人くん、パズルの天才かも! 私が保証する!』

「……そんな保証いりませんよ。」

 霧島は苦笑しながら煙草を灰皿に押し付ける。

 霧島晴人:『もう遅いので寝たほうがいいですよ。』

 甘坂るる:『うん、楽しかったー! ありがとうね、晴人くん♪』

「……どういたしまして。」

 霧島は静かにスマホを閉じ、窓を閉めながら部屋の中に戻った。

 ――深夜に誘われたパズルゲーム。

 夜半の冬、二人のたわいない時間はLINEの通知音と共にゆっくりと過ぎていった。

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