短歌は、一句に、とてつもない物語が込められています。まるで3D映像のように圧巻です、せまりくるイメージの映像詩に圧倒されました。花の色を思い、空気の温度が伝わってくるようです。
資材届ける増築せよ、という表現には、『木材を配達するから部屋を増やせ』ととらえられる一方で、詩的には『体にいいものを食って家族を増やせ』とも解釈できるので、そこには未来への期待や希望が感じられます。つきはなすようでありながら、一緒にいるだけが愛ではないという親子の愛ゆえの慈しみも感じられるのです。
友達としての付き合いから発展する恋愛もいいけれど、最初から結婚を前提にしてしまう恋愛が好きなので、限られた言葉のなかに感じられる勢いの良さや潔さに、しびれます。
激しい感情がこめられていても、それをさらりと感じさせてしまうのも、短歌ならではのリズムでしょう。心地よい余韻が読後も続きます。