洞窟の
中を歩いて
静かなる
暗闇の中
光を探す
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なんやかんやで一人きりになれる場所が無い村。
ここの村人には『一人きりになりたい気持ちが高まる年頃(一生のうちに何度か来る)』になると男女問わず隣村の洞窟に入る習慣がある。
子供の頃、隣村の祭りに家族で行く。
その時に祭りの参加者は順繰りに洞窟に入る体験があって、その経験が大人になってからの『一人洞窟歩き』につながっている。
先客が入っている場合は入ることができないので、その時は隣村の畑仕事を手伝って竹籠いっぱいの野菜をもらう。
洞窟では奥までゆっくりと歩いて、ただ出口まで歩くだけの事。
奥で回れ右をするときに胸に去来する何か。歩いて出てくる時に思い浮かぶ閃き。それを掴むと深々と礼をして帰る。
そのような体験が村人がそれぞれに面白みのある、頼りがいのある人になる一因になっているのでした。