宝箱
木登りしてて
見つけたよ
兄が集めた
木彫りの魚
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子供の見守りを頼まれる日もあって、少年と林を歩く。
少年は登れそうな木に登ってみることが楽しくて仕方がない。
大人が見ていることをチラッと確認してから木に登りました。
だいぶ上のほうで鳥の巣があるのかな?と思って覗き込む。
そこには風で飛ばないように木の箱が置いてあります。
その場で開けると、躍動感のある木彫りの小さな魚がいくつか入っています。
その魚を
誰が作った物なのか(兄がコツコツと作った)、今はどこにいるのか(腕を買われて若いうちに村を出て外で働いている)を知らされて……。
少年は宝箱を見つけた興奮よりも兄がいて、兄の木彫りの魚だということに驚いて目を丸くしてアングリと口を開いたままに。
「言うきっかけが無くて、まだ言えていない。」っていう話を親から聞いていたので、それを木の上に置いたままにするか家に持ち帰るかを問う。
しばらくの混乱の後「え?この魚たちをもらっていいの??」と、歓んで「僕、持ち帰ります!」と言って木に登っていくのでした。