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花が

新しい


かどでの中に


花が咲く


香りの夕べ


歌の華やぎ


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痩せていて線が細く、あまり筋肉がつかなかったが手先が器用な細工職人は未亡人の家に長居していた。


部屋には大小様々な細工物が……あきれる程に数多くあった。


猫は意思の疎通そつうがうまくいかない日々に完全にふてくされているようだ。


役場から書類を持って来た人は、まず書類を整えた。

娘を手放す同意書も用意された。


守役に売れそうな品を選別してもらい、指定した品物を売るほど作るように指示すると書類を胸に満足そうな顔をして帰っていった。


『母親という役をおりて新しく家を成したい』という意向のもとに晴れて娘さんは幼くして吟遊詩人の傍仕えとして働きに出る流れができた。


家を守るように咲いている花たちが咲き、香りでみなを包み込み祝いの夕食で娘は『別れと旅立ちの歌』を心をこめて歌うのでした。





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