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眠り猫

眠ること


ただ足りぬこと


それだけで


満たされていく


四肢の隅々


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三人のうち一人は家についてしばらく考え事をしていたが、ゆっくりと身支度を整えて「川を越えた先に、次の祝い酒があるのでそちらに向かいます」と言い出立した。

三ヶ月待つという試練に降参したようだ。


背の低い一人には猫が近寄り、身体に乗って眠りはじめる。

「その猫が離れるまでは遠慮なく眠ってくつろぐように。あと、肉をしっかり食べること。」と指示を出す。

夕方になると猫が身体に乗り、夕食前に昼寝をするのがしばらくの日課になった。


薪割、畑作業、牛の世話、武術など鍛錬を続けて薪は翌日の朝に道を教えながら配り歩く。


「薪はもう十分だ!おつかれさま!」と言われたころには細身の男は手先が器用なことがわかり、細工物を作るなどもして楽しく過ごした。


三ヶ月が過ぎ、背の低い男は不足していた睡眠が満たされたことで見違える身長になり全体に筋骨隆々に見えるようになったのでした。



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