星間戦争の真っ只中だった。
私は戦闘機の一つに乗り込み、敵機と騙し合いの撃ち合いを繰り返していた。
「カペラ!生きてるか?」
私を呼ぶ声がして、味方機のロイが接近していた。
「生きてるか?ですって?そっちこそ、のこのここんな場所までよく来れたわね」
「この戦闘は嫌な予感がする。一緒に撤退しよう」
「いやよ」
「なにぃ?」
「私には勝利の予感がするの。だからここを突破して敵陣へ乗り込むわ」
「じゃじゃ馬め」
「あら?ついてくる気?」
「うるさい、黙ってろ」
さっきまで小うるさかった敵機を撃破。
その後もロイ機は行動を共にした。
敵陣に乗り込んだ途端、あちらからの攻撃が嘘のように止んだ。
「静かね」
「確かに」
青白く輝く光源に吸い寄せられる。
……なのか?
「え?」
頭の中で響く声。
「お前たちは戦いを楽しんでいるのか?」
「まさか!仕方なくここまで来たのよ!」
「だが、いきいきとして、命が輝いているように思える」
「錯覚でしょ」
ただ、生き残りたいと強く思う。できれば平和な方がいいけれど、この状況下でそれは贅沢だ。
「カペラ?誰と話してた?」ロイが尋ねた。
「わからない」
私はそう言って、光源をじっと見つめた。
戦闘意欲を喪失しないうちにあれこれ決着をつけなきゃならない。でも、湧き出るようにアドレナリンが尽きることを知らない。
私は極限状況下で真の私になる。私という存在の全身全霊をかけて勝つ。
なぜここにいる?なぜ生きている?その答えは今の私にならわかる気がする。
「ロイ?」
「うわああああああ」
ものすごい悲鳴。のたうち回っている様子。
「やめて!」
私が一喝すると、ロイが静かになった。
「カペラ。ロイを無事に送り返す代わりに、お前は私と融合しなければならない」
「ええっ?」
「お前の命が欲しい。私と交わり、より高度な生命体になろう」
いやだ!
私は得体の知れない相手から逃げたいと必死になった。
ドカーン!
青白い光源が破壊された。
「ロイ?!」
「へへ。大丈夫かカペラ」
「ええ。ありがとう」
「ここには用無しだ。帰るぞ」
「はい」
その後、星間戦争はうやむやのうちに終わった。