「特別警備課?」
「そ。警備課の中でも、精鋭が集まった課のことだよ」
それはつまり、精鋭部隊専用の課、みたいな認識で良いのだろうか。
「他の課と違って、警備課は現場に行く人員を、明確に分けないといけないからね。特別警備課は、その中でも難易度の高い任務を受け持ってるんだ」
「へえ」
「あれ。あんまし興味持ってもらえてない?」
おかしいなぁと言わんばかりの顔でこちらを見る
私の顔をじっと見ていた明鷹だが、突然「いや、分かんな!」と叫ぶと、呆気に取られた様子でこちらを見てくる。
「君、ほんとに表情変わらないね!? 僕がここまで読めないなんて相当だよ」
「睦月、気にしなくていい。こいつの見る目がないだけだ」
「それについては宇宙レベルで同意します」
宇宙レベルの同意ってなんだろう。
あれかな。
無限レベル、的な。
「酷いよ二人とも〜。これでも僕、特別警備課の隊長だよ? 新人の表情くらい、簡単に読み取れると思ってたんだけどなぁ」
「隊長なんですね」
「あ、少しは興味持ってくれた?」
私を見て微笑む明鷹の顔には、「面白いことが大好き」と書いてある。
助けてくれた恩もあるし、性格自体は悪くなさそうなのだが、何だろうこの……あまり関わりたくない感じ。
隊長と言うだけあって優秀なのだろうが、私は今までの経験から、「優秀な死神は
「そういえば名前、睦月ちゃんって言うんだね。良い名前で
一瞬でぴりりとした空気が部屋に漂う。
「
美火の話し方が、いつもより硬度を増している。
それほど、今の発言は良くないものだったらしい。
「そう怒らないでよ美火ちゃん。僕だって、何も考えず言ったわけじゃないよ。確かにここは死界だけど、この場所は常闇の
「……」
明鷹の方を
「いくら上司の
「分かったよ。次から気をつけます」
だから今回は許して〜!と手を合わせた明鷹は、私の方を向くと、同じように手を合わせてきた。
◆ ◆ ◇ ◇
死局の最深部には、王や幹部が話し合うための部屋が存在している。
中では、円卓を囲うように幹部たちが腰掛けていた。
「また遅刻か、常闇」
「王に対する無礼の数々、そろそろ
騎士に似た格好の女性は、ローブをマントのように羽織っている。
寄せられた眉と組まれた腕が、女性の不機嫌さを露骨に表していた。
隣に座る少女もまた、
扇子で隠された口元と、着物にしては派手すぎる装いは、少女の趣味を大いに
「前にも言いましたが、私は仮の幹部ですよ。必ずしも従う必要はないはずです」
全く表情を変えず、
「静粛に。もうすぐ王が来られます」
秘書のような死神の一声に、二人は渋々といった態度で黙り込んでいる。
冷ややかな眼差しで常闇の方を
常闇が席に着くと、空いた椅子がよく目立つ。
他と比べて立派な作りをした椅子は、上座と呼ばれる場所に置かれている。
もはや、この場所に誰が座るかは一目瞭然だった。
◆ ◇ ◆ ◇
明鷹の発音
あ→き→た→か