城作也
歴史・時代外国歴史
2024年12月23日
公開日
736文字
連載中
古代の中国で、権力の闘争にその身を費やし、栄華を得ながらも虚しく散った皇后の物語。
前書き
西晋の毒華-賈南風伝
歴史に名を残す女性たちの中で、西晋の賈南風ほど鮮烈な印象を残す人物は少ないだろう。彼女は権力の頂点に登り詰めながら、最後は自らの手で命を絶った女帝である。だが、歴史書に記された「残虐な婦人」という評価は、果たして彼女の真の姿なのだろうか。
本作では、十六歳で宮廷に入った時から最期を迎えるまでの賈南風の半生を、六つの章で描いていく。そこに浮かび上がるのは、母から受け継いだ知恵と野心、権力への渇望、そして時代に翻弄される一人の女性の姿である。
西晋という時代は、表面的な栄華の下で、すでに崩壊の予兆を抱えていた。八王の乱へと至る|混乱の序章として、賈南風の生涯は歴史の大きな転換点と重なっている。本作では、彼女の視点を通して、この激動の時代を描き出すことを試みた。
権力とは何か。それを手に入れることは、果たして幸福なのか。賈南風の人生には、現代を生きる私たちへの問いかけも含まれている。彼女が最後に見た風景とともに、その答えを読者の皆様にも考えていただければ幸いである。