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Stage2 魔法の力再び★

「イタタタ、ココってどこなのよっ!」

「どうやらガッツが足りなかったみたいだっ、だから魔法が失敗したんだっ」

「アホな事言っとらんと、さっさとウチの上から降りんかいな、シバくでぇ!」


 アタシたちは亀山運送の近くの公園の森の高い木の枝に引っかかっていた。

 これって、アタシが最初に使った魔法と同じ失敗だ。


 学校に遅刻しそうなアタシは、ヒカリとヤミにもらった魔法のステッキを使った瞬間移動の魔法で学校の木の枝に引っかかってしまった。

 ……って、アタシ……高い所苦手なのよ、下を見たら……キャアアアッ!!


「誰かー、誰か降ろしてぇぇぇ、高いの、怖いのぉぉおー!!」


 そこにボロボロの服のおじさんが通りかかった。


「おや、声が聞こえるわい。この木の所かな?」


 ボロボロの服のおじさんは、ゴミ拾いをしている途中でアタシたちを見つけてくれたみたいだ。


「おやおや、元気のいい娘さんじゃ。でもこんな所で木登りをするのは危ないからの」


 アタシに声をかけたのは、太い眉と野太い声のおじさんだった。

 え? この人……昔どこかで見たような気がする。

 でも、誰だったかな? なんだか知っている人に似ているような気はするんだけど……。


「ア……アタシ高いとこ苦手なのぉー! 降ろしてぇえ!!」

「はいはい、娘さん。ちょっと待ってなさい」


 人の良さそうなおじさんは、まずヒカリとヤミを降ろしてから、アタシに飛び降りるように言った。

 でもあんなガリガリのおじさんがアタシを受け止めれるの?


「娘さん、もう大丈夫。ここに向かって飛び降りなさい」

「え、で……でも」

「儂が受け止めてあげるから、安心するんじゃ」


 このまま木にしがみついていても仕事の遅刻確定だし、仕方ないっ、おじさんを信じてみよう。


「え、えぇーい!!」

「う、うわっとっ!!」


 ドスーン!!


 アタシはおじさんを下敷きにする形でその上に落ちた。

 やっぱりどうもアタシの体重だとおじさんは支えきれなかったみたい、これはダイエットするしかないな……。


「娘さん、怪我はなかったかい?」

「え、ええ。大丈夫です……って、もうこんな時間!? 遅刻だぁああ!!」

「あ、娘さん?」


 アタシはおじさんにお礼を言う暇もなく、公園の隣の会社に向かった。

 どうにか時間ギリギリで間に合ったものの、ヒカリとヤミの二匹が自動ドアに引っかかりかけて大変だった。


 どうにか職場に到着したアタシは、昔やった方法で魔法のステッキを小さくし、化粧バックの中にしまった。

 どうやら本当にアタシは、ヒカリとヤミのおかげで魔法が使えるようになったみたいだ。

 今日の仕事は魔法のおかげで普段よりも楽に終わったのでアタシは久々の定時から一時間半で退社出来た。


 そういえば今日朝アタシを助けてくれたおじさん、あの人にお礼をしてあげないと。

 アタシはワンカップ酒とつまみを買い、昼間のおじさんを公園で探した。

 すると、おじさんは若い男達に殴る蹴るされ、住んでいたテントはボロボロに壊されていた。


「こらー! アンタ達、何をしてるのよ!!」

「何だよ、オバサン。オレ達は街の美化をしてるのよ、奉仕活動。ゴミ掃除をしてるんだって」

「そうそう、ゴミそうじ、町をキレイにしないとね」


 この男達はホームレスのおじさんをいじめて、自分達が悪い事をしているどころか、良い事をしていると思い込んでいる。

 許せない、アタシは魔法の力で彼等を懲らしめる事にし、多目的トイレに駆け込んだ。

 アタシがステッキを大きくし、手に持つとヤミが語りかけて来た。


「エイミちゃん、魔法の呪文は覚えとるんかいな?」

「うん、マジカル・カルカル・ミラクルリンクル・ポップルパルパル・ピムポップン」


 我ながらよくこんな長いのを覚えてたもんだ。

 まあ、50回近く言ってたらそりゃあ忘れないかも……って、なんで50回程って覚えてたんだろ?。

 ひょっとしたら、この呪文を覚えていたのも無意識の魔法だったという事も考えられる。


「よしっ、間違ってないぞ! ガッツで変身だっ!!」

「アンタは暑苦しいねん、エイミちゃん、気にせんときや」

「わ……わかった」


 アタシは魔法のステッキをクルクルと回し、魔法の呪文を唱えた。


「マジカル・カルカル・ミラクルリンクル・ポップルパルパル・ピムポップン……魔法の力でへんしーん」


 しまった、コレって成長する魔法じゃなかったかな、これ以上年を取ったら……アタシはどうなるんだか。

 しかし、魔法のステッキは光と音を放ち、アタシは全身を光るオーロラに包まれ、姿がみるみる変わった。


「こ、これが……アタシ!? 若返ってる!」


 アタシはトイレの鏡を見て驚いた、鏡に映っていたのは、アタシが魔法のアイドルをやっていた頃の姿だったからだ。

 この魔法って……成長するものじゃなかったの?


「エイミちゃん、変身できたみたいやね。この魔法は、本人の思い描く夢の姿に変身する魔法やねん」

「えっ、そんなの知らなかったわ!」


 ってことは、もしアタシが変身ヒーローや巨大怪獣に憧れていたら、この魔法でアタシは巨大ヒーローやロボット、怪獣の姿になっていたって事!?

 ……魔法のアイドルでよかったわ。


「とにかく、あのおじさんを助けてあげないと!」


 アタシは多目的トイレから飛び出し、おじさんをいたぶっていた男達の所に飛び出した。


「やめなさいっ、あなた達!」

「あ? 何だYO!」

「おっ、アンタ可愛いじゃん。オレ達と遊ぼうぜぇ」

「そうだぜ、そんなゴミの事ほっておいて楽しいことしようぜ」


 アタシはこの連中に魔法の力でオシオキをしてやることにした、今の若者はここまでモラルが低下していたのか。

 とりあえず、水の中に落としてやる為、魔法を使うと、三人のバカが光の球に包まれた。


「のわっ!?」

「少し……頭冷やそうか、水でもかぶってね!!」

「ひょぇええー!!」


 ドッボォォーンッ!!


 アタシは魔法でこの男達を空中に放り上げて、噴水に叩きこんだ。

 携帯とか水没してても自業自得、アンタ達が悪いんだからねっ!


「ひっ、ひぇえええ! バケモンだぁぁあ!」

「にげろぉおお!!」

「おかーちゃーん!!」


 男達はびしょ濡れの姿のまま、どこかに逃げてしまった。

 どうやらおじさんは、その場にうずくまっていたみたいで、アタシが魔法を使うところを見ていなかったみたい。


「おじさん、大丈夫ですか?」

「む、娘さん……大丈夫だ、って……アンタは、まさかミラクルエイミ!?」

「おじさん、アタシの事覚えてるの?」

「し、知らんっ、儂はもう、関係ないっ!!」


 おじさんはそう言うと壊れたテントとは反対の方に慌てて姿を消してしまった。

 あのおじさん、いったいどうしたんだろう。


 アタシは朝助けてもらったお礼に、壊れたおじさんのテントを魔法の力で直してあげた。

 そしてその入り口にワンカップ酒とつまみを置いて、そのまま公園を後にした。


「エイミちゃん、どこ行くんや?」

「家に帰るのよ、来るなら来て良いわよ」

「ほな、お邪魔させてもらうでぇ」


 そういうとヒカリとヤミは上着のアタシの胸の所に入り込んだ。

 まあせっかく若返る事が出来たんだし、この姿のまま家に帰ってみるかな。


 アタシが定期で電車に乗ると、やたらとあちこちからジロジロと見られているような気がした。

 やっぱり、この姿って目立つのかな?


 って思ったら! アタシ、変身解けたまま服装だけ元に戻ってなかった!! どうやら魔力を使いすぎて変身だけ解けてしまったみたい……。

 どうして? 変身してたはずなのに、変身が解けて服装だけそのままって、痛いキャラそのものじゃない! あーあ、これはジロジロ見られるのも仕方ない

 まさか、魔力が劣化しててこんなオチになるなんて、やっぱりブランクは怖い。


 家に着いたアタシはようやく回復した魔力で元の姿に戻り、コンビニで買ったエビグラタンを食べながらヒカリとヤミと話をした。


「エイミちゃん、魔法の力……また使えるようになったんやね。ウチ、嬉しいわ」

「ヤミ、そんな事言ってる場合じゃないだろっ、魔法界のピンチなんだっ!!」

「そやった、あのな、エイミちゃん。実はまたアンタに魔法少女をやってほしいねん」


 ヒカリとヤミはアタシに魔法界がまた夢と希望の力が激減して地上に落ちてくるかもしれない話をした。

 もし、魔法界の結界が壊れると、空中に浮いている魔法界は地上に落下、大惨事になってしまう。


「だからな、エイミちゃん、アンタに魔法のアイドルとしてまた夢と希望を集めてほしいねん」

「うーん、ちょっと考えさせて」


 アタシは今後どうするかお風呂に入ってから考える事にした。

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